女性の社会進出に伴い、起業する女性の数も年々増加傾向にあります。しかしながら、男性と女性では起業時に注意すべきポイントも異なるのです。今回は「女性・主婦が起業で失敗しないための心得10選」について解説します。
目次
心得その1.「起業して何を達成したいのか?」自分に問いかける
女性は、男性と違って
「起業すること」
自体が目的になっていることが多いようです。
- 「起業している」というライフスタイルへのあこがれ
- 「起業しているかっこいい女性」という優越感
・・・
女性のモデルさんがモデル業の傍ら、ブランドプロデュースの仕事をするテレビ番組などをみて、憧れを抱く方も多いようです。
しかし、「起業=目的」になってしまうと、大抵の方は失敗します。
起業は手段であって、目的ではないからです。
世の中には○○という問題点があって、それを解決することが人生の大きな目標であり、その手段として会社を作る必要がある。
という目標達成のプロセスの中に「起業」というフェーズがあるだけの話なのです。
これは女性に限ったことではなく、男性でも
「モテたいから」
「お金持ちになりたいから」
という理由で会社を立ち上げると、多くの場合失敗します。
「起業して何を達成したいのか?」再度自分に問いかける必要があります。
これが「会社のVISON」となるのです。
心得その2.アンバランスのススメ
女性の時間の配分は
- 仕事:50%
- 恋愛:20%
- 家庭:20%
- プライベート:10%
というように「バランス」を持って、仕事をしている方が多いようです。会社員であれば、これで何も問題ありません。
しかし、起業を成功に導く経営者というのは
時間の配分は
- 仕事:97%
- 恋愛:1%
- 家庭:1%
- プライベート:1%
ぐらい突出して仕事に打ち込んでいる方が多いのです。
DeNA創業者の南場さんは、「女性もみんな徹夜して仕事してるから」という理由でマッキンゼーに入社し、上場企業の経営者になったのです。
スタートアップ(起業)で動いている経営者は、24時間、起業を成功させることに情熱を注いでいるのです。
同じように力を一点に集中させないと、起業が成功する確率が落ちてしまうのは言うまでもありません。
「良い主婦」と「女性起業家」は簡単に両立できるものではないのです。
これは時間の配分だけの話ではありません。
ランチェスターの「局地戦略」は
- 大手企業が力を入れてこないエリアに絞って力を集中する
- 大手企業が力を入れてこない商品に絞って力を集中する
- 大手企業が力を入れてこないサービスに絞って力を集中する
・・・
心得その3.「おねだり」営業をしない!
男性のクライアントがいた場合に
同じ能力の営業マンの男性と女性がいれば、女性の方が受けが良いのは間違えありません。
これも男女差別のひとつかもしれませんが、異性の方がかわいがられやすいのです。会社の幹部層には男性が多いのですから、女性の方が営業効率が良いのは間違えありません。
起業してからも、女性の社長ほど「おねだり」営業を繰り返す方も少なくないのです。
しかし、これも起業成功の阻害要因になってしまいます。
「おねだり」営業をすれば、受注はできるかも知れませんが・・・
クライアントの担当者は
- 競合商品に対して優位性があるから発注しているのではない
- 競合サービスに対して優位性があるから発注しているのではない
のです。
- 気に入っているから
- 下心があるから
という理由で発注してくれているだけの状態になるため、「本当の会社の実力」にはならないのです。
「おねだり」営業で売上を作ってしまうと
- 徐々に効果がなくなっていく
- 自分以外の社員が真似できない
- 商品やサービスに競合優位性がない状態で売上ができるので、商品開発に力を注がなくなる
- 食事や飲みに誘われてもムゲに断れなくなり、時間が確保できなくなる
- それ以外の方法で売上が作れなくなる
・・・
とまぁ、色々と問題が発生してしまうのです。
勝負すべきは
- サービスの競合優位性
- 商品の競合優位性
なのです。
心得その4.「見栄」をはらない!
起業で見栄を張るというのはどういうことなのかというと
- 起業したことを周囲に言いふらす
- 起業するときのオフィスの立地を好立地にしてしまう
- 起業するときのオフィスの内装にお金をかけてしまう
- 起業したときから、働きやすい会社にするべく、従業員に有利な就業規則を作ってしまう
- 起業した直後にゴールドカード、プラチナカードを持つ
- 不必要な出張を繰り返す
・・・
これは女性に限った話ではありませんが
- 起業直後は、自社のオフィスを持つ必要はないかもしれません。
- 家賃の高い表参道とか渋谷のSOHOオフィスに会社を構える必要はないかもしれません。
- しょっちゅう人が来るわけでもないのにオフィスの内装にお金を賭ける必要もありません。
・・・
Tシャツにジーンズスタイルで
自宅で会社を登記して
睡眠以外は商品開発、サービス開発に力を注いだ方が
コストもかかりませんし、結果が出るまでのスピードも速いのです。
「見栄」は「自己ブランディング」だと言い張る方もいるかもしれませんが、自己ブランディングしないと売れない商品やサービスと言うのは、そもそも、商品やサービスに力がないということの証左なのです。
心得その5.ゴールから逆算する
これは筆者の印象でしかありませんが、女性は長期の視点に基づいて計画を立てることを苦手にしている方が少なくないようです。
一時の感情や気分で行動する行動力は、男性よりも女性の方があるように思いますし
無駄をなくす節約や効率化の能力も、男性より女性の方があるように思います。
- 冷蔵庫の余り物を見て
- 「何が作れるかな?」と考えた結果
- 作ったパスタ
は家庭料理の域をでません。
そうではなくて、
- 日本一美味しいパスタ屋を作る
- 「そのために必要な食材と調理法は何?」と考えた結果
- 日本一のパスタ屋さんで修行する
- 日本全国を飛び回って食材を集める
- イタリアの本場の調理器具を取り寄せる
・・・
という、目的から逆算して行動を決めることで、「日本一美味しいパスタ屋を作る」目的に近い結果が得られるのです。
- 今持っているスキルで何ができるのかな?
- 今持っている人脈で何ができるのかな?
- 今持っているお金で何ができるのかな?
と考えた「起業」は、冷蔵庫の余り物で作る家庭料理と同じなのです。
- 10年後にパスタ店を10店舗開業して、年商20億、従業員数100名を目指す
と決めた上で
- そのために必要なスキルは何か?
- そのために必要な人材は誰か?
- そのために必要なノウハウは何か?
- そのために必要な資金はいくらか?
・・・
と考えていくべきものなのです。
心得その6.女性はまず起業してみることが重要
男性であれば
従業員数10名~50名ぐらいの中小企業で、ある程度結果を出していれば
20代のうちに幹部クラス(役員)に出世して
- 経営会議への参加
- 経営計画策定、予算策定
- 新規事業の立上
- 決算数値の把握
・・・
など、経営に関する知識やノウハウを得られる環境を与えられることも多いのです。
ボードメンバー(取締役会、主要な経営幹部)として、経験を積んでいれば
- 自分が起業するときにはこうした方が良い。
- ここがダメだから、この会社は伸びないんだ。
- 経営計画ってこうやって作るんだ。
- 新規事業はこうやって立ち上げるんだ。
・・・
という発見があり、起業するときの大きな財産、ノウハウとなるのです。
しかし、女性の場合は、なかなかボードメンバーに若いうちになれる方は少ないのです。
だとすれば、さっさと起業してしまった方が良いのです。
重要なのは
ということです。
はじめから、1000万円、2000万円の借入をして起業失敗して、借金が残ったら、返済するだけで10年ぐらいはかかってしまいます。
そうではなく、自己資金の100万円で起業してしまって、失敗しても、すぐ再起できる環境で何度もチャレンジすれば、おのずと起業ノウハウが蓄積されるので、2回目、3回目に成功する確率が高まるのです。
心得その7.補助金・助成金に頼らない
女性の社会進出を進めたいのは、日本政府も同じです。
だからこそ、女性の起業家向けの「補助金」「助成金」は数多くあるのです。
しかし、補助金・助成金には頼らないことをおすすめします。
なぜなら、補助金・助成金を得るためには
- 承認されやすいキャッチーな事業計画にしなければならない。
- 資料を作るのに時間がかかる
- 補助金・助成金がもらえるかどうかはわからない
- 補助金・助成金がもらえるまでに時間がかかる
- 人員の採用を前提にしているものが多い
・・・
多くのマイナス面があるのです。
起業を成功させるためには
- はじめは社員を雇わない方が良い
- ありきたりのビジネスモデルの方が成功できる可能性は高い
のです。
心得その8.経営者仲間は付き合いを制限する
起業した直後は
- ノウハウがない
- 人脈がない
ため、男女関わらず、
- 経営者同士の懇親会
- 経済団体
- 商工団体
- 友人の紹介
などコミュニティに参加する人が少なくありません。
こういうコミュニティには、成功しているバリバリの経営者はいないのです。
- 経営ノウハウが不足している新人経営者
- 暇を持て余しているシニア経営者
- 何かを販売したい、営業したい経営者
の3種類ぐらいの経営者しかいないので、意味がありません。
結局、お友達付き合いのようになってしまい
- 無駄な時間を取られる
- 愚痴を言い合うだけの場所になる
- お互いに営業しているだけになる
- 「今度○○さん紹介して上げるよ。」という意味のないアポが増える
・・・
そんなことしている暇があったら
- 競合の商品やサービスの分析
- 自社の商品やサービスの改善
をしていた方がよっぽど効率的なのです。
心得その9.女性向けのサービスの方が成功しやすい
女性起業家は男性起業家に対して圧倒的に少ないのが現状です。
だとすれば
- 男性も、女性も、関係ない業種で起業する
よりは
- ほとんど女性しかこの業種には参入してこないという業種で起業する
方が成功率が高いのは間違えありません。
- 敵が少ない
- 競争相手は女性だけ
の方が良いのです。
- 妊婦向けの商品・商材
- 子育て向けの商品・商材
- 女性特有の悩み解決サービス、商材
・・・
というように「女性しか経験しないこと」「女性しか体験しない悩み」にフォーカスした事業には、なかなか男性は入り込みにくいのです。
成功している女性経営者の多くは
- 美容・健康
- 保育士・看護師
- 子育て・妊娠
などのジャンルが多いと感じます。
心得その10.断捨離の捨てる勇気
スティーブ・ジョブスは
「私が一番誇れることは、数多くの『やらなかった』という決断だ。」
正確な言葉は忘れましたが、このようなニュワンスのことを言っています。
iPhoneを見ればわかる通りで、徹底的にデザイン、シンプル、操作性にこだわって、色々なものを排除したからこそ、iPhoneは成功したと言っても過言ではありません。
スティーブ・ジョブスがこの世を去ってから、iPhoneは機能改善ばかりで革新的なイノベーションがないことからも、彼の存在は非常に大きかったことが分かります。
- 友人からの誘いを断る勇気
- 不必要な人脈を広げない勇気
- 収益性の低い事業を捨てる勇気
- プライベートの時間を捨てる勇気
- 商品やサービスの一部の機能を捨てる勇気
・・・
お金が潤沢にある大企業ではないのですから、どこかに突出してリソースを突っ込んで、小さいエリアで勝ちに行くしかないのです。
それ以外の無駄なことは捨てざるを得ないのです。
まとめ
女性・主婦が起業で失敗しないための心得
心得その1.「起業して何を達成したいのか?」自分に問いかける
心得その2.アンバランスのススメ
心得その3.「おねだり」営業をしない!
心得その4.「見栄」をはらない!
心得その5.ゴールから逆算する
心得その6.女性はまず起業してみることが重要
心得その7.補助金・助成金に頼らない
心得その8.経営者仲間は付き合いを制限する
心得その9.女性向けのサービスの方が成功しやすい
心得その10.断捨離の捨てる勇気
女性が起業で成功するためには、男性と比べて不利な条件があるのは間違えありません。
しかし、一方で女性だからこそ成功できる可能性というのも、あるのです。
とくに重要なのは
- ゴールから逆算して実行計画を練ること
- 商品やサービスの競合優位性を徹底的に高めること
- 時間やリソースを一点に集中すること
です。
周りに流されない鉄の意思が必要なのです。
「女性が起業で成功するコツとは?」
・・・