という方も多いと思います。今回は、会社設立登記の必要書類チェックシートを解説します。
目次
会社設立登記申請に必要な書類チェックシート
取締役会を設置しない会社の場合
必要書類 | 署名捺印者 | 印鑑 | 提出条件 | 入手場所 |
---|---|---|---|---|
登記申請書 | 代表取締役 | 会社実印 | ○必須 | 法務局ウェブサイト「株式会社設立登記申請書」 |
登録免許税納付用台紙 | – | – | ○必須 | 自分で用意 |
CD-R、DVD-R | – | – | ○必須 | 自分で用意 |
定款 | 発起人 | 個人実印 | ○必須 | 公証役場で定款の謄本取得 |
発起人の決定書 | 発起人 | 個人実印(個人印可) | ○必須 | 自分で用意 |
取締役の就任承諾書 | 取締役 | 個人実印 | ○必須 | 自分で用意 |
代表取締役の就任承諾書 | 代表取締役 | 個人実印 | ○必須 | 自分で用意 |
取締役全員の印鑑証明書 | – | – | ○必須 | 取締役の市区町村 |
資本金の払い込みを証明する証明書 | 代表取締役 | 会社実印 | ○必須 | 自分で用意 |
取締役などの調査報告書 | 取締役(監査役の場合もある) | 個人実印(個人印可) | △現物出資がある場合 | 自分で用意 |
資本金額の計上に関する証明書 | 代表取締役 | 会社実印 | △現物出資がある場合 | 自分で用意 |
印鑑届出書 | 代表取締役 | 会社実印、個人実印 | ○必須 | 法務局ウェブサイト「印鑑届書」 |
印鑑カード交付申請書 | 代表取締役 | 会社実印 | ○必須 | 法務局ウェブサイト「印鑑カード交付申請書」 |
取締役会を設置する会社の場合
必要書類 | 署名捺印者 | 印鑑 | 提出条件 | 入手場所 |
---|---|---|---|---|
登記申請書 | 代表取締役 | 会社実印 | ○必須 | 法務局ウェブサイト「株式会社設立登記申請書」 |
登録免許税納付用台紙 | – | – | ○必須 | 自分で用意 |
CD-R、DVD-R | – | – | ○必須 | 自分で用意 |
定款 | 発起人 | 個人実印 | ○必須 | 公証役場で定款の謄本取得 |
発起人の決定書 | 発起人 | 個人実印(個人印可) | ○必須 | 自分で用意 |
取締役の就任承諾書 | 取締役 | 個人実印 | ○必須 | 自分で用意 |
代表取締役の就任承諾書 | 代表取締役 | 個人実印 | ○必須 | 自分で用意 |
監査役の就任承諾書 | 監査役 | 個人実印(個人印可) | ○必須 | 自分で用意 |
代表取締役の印鑑証明書、代表取締役以外の役員の本人確認証明書 | – | – | ○必須 | 代表取締役の市区町村、本人確認証明書は住民票やマイナンバーカード、免許証のコピー |
資本金の払い込みを証明する証明書 | 代表取締役 | 会社実印 | ○必須 | 自分で用意 |
取締役などの調査報告書 | 取締役(監査役の場合もある) | 個人実印(個人印可) | △現物出資がある場合 | 自分で用意 |
資本金額の計上に関する証明書 | 代表取締役 | 会社実印 | △現物出資がある場合 | 自分で用意 |
印鑑届出書 | 代表取締役 | 会社実印、個人実印 | ○必須 | 法務局ウェブサイト「印鑑届書」 |
印鑑カード交付申請書 | 代表取締役 | 会社実印 | ○必須 | 法務局ウェブサイト「印鑑カード交付申請書」 |
会社設立登記申請に必要な書類チェックシート各項目の解説
取締役会を設置しない会社の場合
登記申請書
登記申請書は、法務局に登記を申請するときの書類です。
登記申請書の項目には
- 商号
- 本店
- 登記の事由
- 登記すべき事項
- 課税標準金額
- 登録免許税
などの項目があり、これらが登記情報として、登記簿に記載されます。
登録免許税納付用台紙
登録免許税の納付方法は、法務局によって異なります。
- 収入印紙での納付
- 金融機関での納付
があり
どちらも、A4コピー用紙を登録免許税納付用台紙として
- 収入印紙での納付 → 台紙の真ん中に収入印紙を貼付
- 金融機関での納付 → 台紙の真ん中に金融機関が発行した領収書を貼付(登録免許税納付用台紙と領収書の間に契印・割印)
をして、提出します。
CD-R、DVD-R
「登記すべき事項」に基づいて登記が行われるため、実務上は、登記申請書に直接記載して申請してしまうと、法務局で修正することができなくなってしまうので、データで提出しなければならないのです。
そのときの方法としては
- CD-R、DVD-Rの磁気ディスクに記録して提出する
- オンラインで提出する
の2つあります。
最近では、ほとんどの方はオンライン提出を採用しています。オンラインで提出すれば
- 登記申請書の作成もできる
- CD-R、DVD-Rを用意する必要がない
- 受付番号、補正、手続き終了などのお知らせを受け取れる
というメリットがあるためです。
登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出の流れ
- 事前準備(申請用総合ソフトのダウンロード等)
- 登記事項提出書の作成・送信(申請用総合ソフトにより登記事項提出書を作成,送信)
- 申請書の作成・登記所への提出(作成した登記事項提出書を印刷して申請書を作成し,添付書類等と共に登記所に提出)
CD-R、DVD-Rの磁気ディスクに記録して提出する場合の記載例
txtファイル
「商号」○○商事株式会社
「本店」○県○市○町○丁目○番○号
「公告をする方法」官報に掲載してする。
「目的」
1 ○○の製造販売
2 ○○の売買
3 前各号に附帯する一切の事業
「発行可能株式総数」800株
「発行済株式の総数」200株
「資本金の額」金1000万円
「株式の譲渡制限に関する規定」
当会社の株式を譲渡するには,取締役会の承認を受けなければならない。
「株券を発行する旨の定め」
当会社は株券を発行する。
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務太郎
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務一郎
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務次郎
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」法務太郎
「役員に関する事項」
「資格」監査役
「氏名」法務花子
「取締役会設置会社に関する事項」
取締役会設置会社
「監査役設置会社に関する事項」
監査役設置会社
「登記記録に関する事項」設立
CD-R、DVD-Rの磁気ディスクに記録して提出する場合の注意点
電磁的記録媒体の種類
- CD-ROM(120mm,JIS X 0606形式)
- CD-R(120mm,JIS X 0606形式)
- DVD-R(120mm,JIS X 0610形式)
- DVD-ROM(120mm,JIS X 0610形式)
記録の方法
- 文字コードは,シフトJIS(※)を使用し,すべて全角文字で作成してください。
- 文字フォントは,「MS明朝」,「MSゴシック」等いずれのフォントを使用していただいても構いません。
- 使用する文字は,Microsoft(R) Windows(R)端末で内容を確認することができるもので作成願います。特に,(1),(2),(3)等の文字は,OSが異なると文字化けすることがありますので御留意ください。
- タブ(Tab)を使用しないでください。字下げや文字の区切り等により空白が必要な場合は,スペース(全角)を使用してください。
- 数式中で使用する分数の横線は,「─」(シフトJISの0X849F(区点:0801))を使用してください。
- ファイルは,テキスト形式で記録し,ファイル名は,「(任意の名称).txt」としてください。(例 株式会社・設立.txt)。
- 電磁的記録媒体には,フォルダを作成しないでください。
- 1枚の電磁的記録媒体には,1件の申請に係る登記すべき事項を記録してください。
- 電磁的記録媒体には,申請人の氏名(法人にあっては,商号又は名称)を記載した書面をはり付けてください。
※シフトJISであっても,JIS X208に含まれないIBM拡張文字,NEC選定IBM拡張文字及びWindows外字はご利用いただけませんので,御注意下さい。
定款
定款の謄本を提出します。
発起人の決定書
発起人の決定書とは、発起人全員が「本店の所在地」と「設立時代表取締役」を決めたことを証明するために書類のことです。
発起人の決定書
平成○年○月○日○時○分より当会社設立事務所(東京都○区○町○番○号)において発起人全員が出席し、その全員一致の決議により下記の事項を決定した。
記
1.本店の所在地を次の通りとする。
本店 東京都○区○町○番○号2.設立時代表取締役を次のものとする。
設立時代表取締役 鈴木太郎上記事項を証するため、発起人全員は、次に記名押印する。
平成○○年○○月○○日
株式会社○○○○発起人 鈴木太郎 ㊞
発起人 佐藤次郎 ㊞
発起人 鈴木三郎 ㊞
発起人の決定書作成時の注意点
- 住所は、正確に記載する
- 日付は、定款の作成日から登記申請日の間の日付にする
- 不部があった時ように捨印を押印する
就任承諾書
就任承諾書には、就任する方が会社に対して、就任を承諾した旨を記載する書類です。
会社によっては
- 取締役の就任承諾書
- 代表取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
の3種類が必要になります。
取締役の就任承諾書
就任承諾書
私は、平成○○年○○月○○日、貴社の設立時取締役に選任されたので、その就任を承諾します。
平成○○年○○月○○日
○○県○○市○町○丁目○番○号 ○山○郎 ㊞
株式会社○○○○御中
代表取締役の就任承諾書
就任承諾書
私は、平成○○年○○月○○日、貴社の設立時代表取締役に選任されたので、その就任を承諾します。
平成○○年○○月○○日
○○県○○市○町○丁目○番○号 ○山○郎 ㊞
株式会社○○○○御中
就任承諾書作成時の注意点
- 「個人の実印」で押印する
- 捨印を押印する
- 通常は、定款作成日を就任承諾日とする
取締役全員の印鑑証明書
取締役の「実印」であることを証明するために、取締役全員の印鑑証明書を用意します。
資本金の払い込みを証明する証明書
資本金が支払われたことを証明するために、「資本金の払い込みを証明する証明書」を用意します。
取締役などの調査報告
現物出資がある場合、取締役が
定款に記載された価額が相当であるかの調査
をします。その現物出資の調査報告書です。
現物出資の金額が500万円を超える場合には、裁判所に検査役の選任を申し立てるか、弁護士や税理士の証明書などが必要になります。
調査報告書
私は、株式会社〇〇の設立時取締役・設立時監査役に選任されたので、会社法第46条第1項に規定する事項について調査したところ、その結果は下記のとおりであり、法令若しくは定款に違反又は不当な事項は認められません。
記
1.設立時発行株式の総数(300株)は、平成〇〇年〇月〇日までに発起人により引受があったことを認める。
2.設立時発行株式の総数(現物出資による55株を除き、245株)につき、平成〇〇年〇月〇〇日までに、その発行価額の全額(245万円)の払込みがあったことは、発起人〇〇一郎の預金通帳(〇〇銀行△△支店普通口座〇〇〇)により認めることができる。
3.発起人〇〇一郎の現物出資(55株)については、次のとおり認めることができる。
①現物出資財産等の給付のあったことは平成〇〇年3月29日付別紙財産引継書により認めることができる。
②現物出資は、会社法第33条第10項第1号の場合に該当し、現物出資の目的たる財産につき、定款に定めた価格は、相当であると認める。なお、発起人が受けるべき特別の利益、会社成立後に譲り受けることを約した財産、会社の負担に帰すべき設立費用などの定めはない。
以上、会社法の規定にしたがい調査しました。
平成〇〇年○○月○○日
(商号) 株式会社〇〇〇〇
設立時取締役 〇〇 一 郎 印
設立時取締役 〇〇 二 郎 印
設立時取締役 〇〇 三 郎 印
資本金額の計上に関する証明書
資本金額の計上がされたことを証明する書類です。
金銭のみで資本金を計上する場合には不要です。
現物出資がある場合のみ作成します。
資本金の額の計上に関する証明書
払い込みを受けた金額+
①払込みを受けた金銭の額 金○○万円
②給付を受けた金銭以外の財産の給付があった日における当該財産の価額 金○○万円
③①+② 金○○万円資本金の額○○万円は、会社法第445条及び会社計算規則第43条の規定に従って計上されたことに相違ありません。
平成〇〇年○○月○○日
(本 店) ○○県○○市○丁目○番○号
(商 号) 株式会社○○○○
(代表者) 設立時代表取締役 ○○○○ 印
印鑑届出書
会社の印鑑も「実印」として登録する必要があります。
そのときに作成するのが「印鑑届出書」ですが、これは登記申請時に提出します。
印鑑カード交付申請書
会社の印鑑証明書を取得するためには「印鑑カード」というものが必要になります。印鑑カードの交付は、会社設立登記が完了した後に、管轄法務局で手続きするものです。
取締役会を設置する会社の場合で必要になる書類
代表取締役以外の役員の本人確認証明書
取締役会を設置しない会社の場合は、取締役全員が「印鑑証明書」を提出するため、本人確認証明書の提出は必要ありません。
取締役会を設置する会社の場合は、「印鑑証明書」を提出しない場合「本人確認証明書」の提出が代わりに必要になります。
- 代表取締役以外の取締役
- 監査役
が該当します。
本人確認証明書
- 住民票の写し
- 運転免許証のコピー(表面・裏面)
- 住基カードのコピー(表面・裏面)
- マイナンバーカードのコピー(表面)
提出時には
コピーをA4の用紙に貼り付けて、記名押印する必要があります。
コピー(表面・裏面)
原本に相違ない
取締役 ○○ 太郎 印
監査役の就任承諾書
就任承諾書
私は、平成○○年○○月○○日、貴社の設立時監査役に選任されたので、その就任を承諾します。
平成○○年○○月○○日
○○県○○市○町○丁目○番○号 ○山○郎 ㊞
株式会社○○○○御中
会社の設立登記で注意すべきこと
書類に不備があると設立日が伸びてしまう!
上記のチェックシートにある書類が
- 「足らない」
- 「不備がある」
- 「間違えがある」
状態だと、当然申請は受理されません。
軽微なミスであれば、その場で修正できることもありますが
そうでない場合は
- 再度法務局に出向く
- 一旦申請を取り下げる(同時に登録免許税の還付手続きをして一旦元の状態にも戻す)
という対応を取らざるを得ないこともあります。
会社として、いつ設立して、その後速やかに事業に移ることを計画しているものが、いきなり躓くことになってしまいます。
とく起業時の初動は、会社の成功に大きく影響するものですので、無駄な時間を取られないように、念入りにチェックシートの内容を確認して、抜け漏れのない形で法務局に申請することを心がけましょう。
まとめ
会社設立登記申請に必要な書類チェックシートを確認の上、抜け漏れなく、登記申請を行いましょう。
登記申請での書類の抜け漏れ、誤表記などは、設立日が遅れてしまう、無駄な作業時間がとられてしまう、大きなデメリットと言えます。起業時につまづくことは、少なからず経営的なダメージになってしまうので、注意が必要です。
「登記に必要な書類を忘れてないか心配」
・・・