定款とは?定款の作り方と認証方法を徹底解説。定款テンプレート無料ダウンロード

man
「定款って何ですか?」
「なぜ、定款が必要なのでしょうか?」

起業がはじめての方であれば、「定款(ていかん)」というものを知っている方の方が少ないかと思います。今回は、定款について解説します。

定款とは?

wikipediaによると

定款(ていかん)とは

社団法人(会社・公益法人・協同組合等)および財団法人の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規則そのもの(実質的意義の定款)、およびその内容を紙や電子媒体に記録したもの(形式的意義の定款)である。

出典:wikipedia

となっています。

これだけではわかりにくいのでかみ砕いて言えば

定款(ていかん)とは

会社の基本ルールのこと

を言います。

「会社の憲法」と例えられることも多いものです。

man
「えっ、全然イメージがわかんないんだけど、就業規則みたいなもの?」
teacher

違います。

就業規則は、雇用された方が守らなければならない実務上のルールですが、もっと大きな枠組みでのルールなので「法律」ではなく、「憲法」と表現されるのです。

具体的には

  • 「この会社の名前は〇〇です。」
  • 「この会社の本社は〇〇にあります。」
  • 「この会社の事業内容は〇〇と△△です。」
  • 「この会社の資本金は□□円です。」
  • 「この会社で発行可能な株式数は〇〇株です。」
  • 「この会社の発起人(会社を設立する人)は〇〇です。」
    ・・・

という大きな枠組みの「この会社はこういう決まりで運営していきますよ。」という基本ルールを紙や電子媒体に記録したものが「定款」なのです。

会社設立をするためには必ず「定款」を作って、本店所在地を管轄する法務局の公証人に認証してもらわなければならないのです。

会社設立にあたっては「会社の設立登記」をしなければなりません。

しかし、この「会社の設立登記」の申請書類に「定款」があるのです。

  1. 定款の作成
  2. 定款の認証
  3. 会社の設立登記

という手順になります。

会社設立にあたって、まず作らなければならないのが「定款」なのです。

定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」がある

定款には

  1. 「絶対的記載事項」
  2. 「相対的記載事項」
  3. 「任意的記載事項」

の3つの書くべきことがあります。

  1. 「絶対的記載事項」:絶対に記載しなければならない事項
  2. 「相対的記載事項」:決めたら記載しなければならない事項(定款記載がないと有効にならない事項)
  3. 「任意的記載事項」:記載するかどうかが自由な事項

を言います。

「絶対的記載事項」:絶対に記載しなければならない事項

目的(会社の事業内容)

どのような事業を行うのか?

商号(社名)

会社名は何にするのか?

本店の所在地

どこに会社(本店)を設置するのか?
teacher
定款には本店住所のうち「最小行政区画」である市区町村まで記載すれば良いことになっています。

  1. 東京都千代田区神田小川町〇丁目〇番地〇号:〇
  2. 東京都千代田区:〇

とどちらでもOKなのです。

一般的には同じ市区町村に移転した場合に定款の変更が発生しない「最小行政区画(市区町村)まで」しか記載しない方法をおすすめします。

出資額

会社の設立時にいくら出資して会社を設立するのか?
teacher
「最低額として記載する方法」と「出資額を確定して記載する方法」の2通りがあります。どちらでも構いません。

発起人(会社を設立する人)の氏名、住所

誰が会社を設立するのか?
teacher
会社を設立する人、お金を出す人(出資者)のことを「発起人」と言います。個人でも、法人でも、「発起人」になることが可能です。

「相対的記載事項」:決めたら記載しなければならない事項(定款記載がないと有効にならない事項)

株式の譲渡制限に対する規定

株式を譲渡するときに会社の承認を必要とするかどうか?
teacher
勝手に株主が株を譲渡できることにしてしまうと、経営権が知らない第三者に移ってしまうことになります。中小企業の場合は、第三者が経営権を取得することの影響が多い気いので、この規定を入れておく方が多いのです。

株主総会の招集の短縮

株主総会を招集するときに何日前までに通知を出すか?
teacher
何も記載がなければ、株主総会を招集するタイミングは2週間前までに招集通知を出さなければならないことになっています。規定を設けることで、ギリギリの招集通知でも株主総会を開催することができるのです。

役員の任期

役員の任期を何年に延ばすか?
teacher
何も記載がなければ、会社法では取締役の任期は2年となっています。2年という任期では同じ人が取締役を続けるとしても「重任(引き続きその職を続ける)」の登記が必要になります。2年ごとに登記変更するとコストもかかるので、定款に「役員の任期を最大の10年に延ばす」記載をすることで対応するのです。「株式の譲渡制限規定」を設定している場合には、取締役の任期は最大10年に延ばすことができます。

株券発行の定め

株券を発行するかどうか?
teacher
何も記載がなければ「株券は発行しない」ことになります。発行する場合には定款に記載する必要があります。

現物出資

お金ではなく、現物での出資をするかどうか?
teacher
会社への出資というのは、現金以外でも対応可能です。不動産、有価証券、自動車、パソコンなど価値のあるものであれば現物での出資が可能になります。この場合も、定款への記載が必要になります。

財産引受

会社設立後に会社設立を条件に財産を引き渡すかどうか?
財産引受とは
特定の者が会社の設立を条件に、会社に特定の財産を引き渡す契約をすること

を言います。現物出資は、会社設立時に財産を引き渡すものですが、財産引受は、会社設立を条件に(会社設立後)に財産を引き渡す契約のことです。産引受けの契約を行う場合も、現物出資と同じように定款に記載する必要があり、定款に記載のない財産引受けは無効になってしまいます。

検査役の調査

「現物出資」「財産引受」では、検査役または弁護士等の調査が必要となります。

検査役とは
  • 株式会社の業務や財産状況の調査などを職務とする臨時的監査機関のこと

「現物出資」「財産引受」の財産を適正価格で評価するために、検査役が必要なのです。過大に評価されないための仕組みと言えます。

ただし、

  • 定款に記載された財産引受けの価額の総額が500万円以下の場合
  • 弁護士や税理士などから、定款に記載された財産引受けの目的財産について、価額が相当であるという証明を受けた場合
  • 対象が証券取引所で売買されている有価証券であり、定款に記載した価額が市場価格以下の場合

には、検査役の調査が不要になります。

「任意的記載事項」:記載するかどうかが自由な事項

事業年度

会社の決算期・事業年度はいつにするのか?
teacher
これは定款に記載することが義務付けられているものではありません。ただし、登記の時には必要になりますし、記載しておくことで事業年度が明確になるので、記載するケースがほとんどです。

取締役の人数

取締役の役員の人数を何人にするのか?
teacher
  • 取締役会を設置していない → 取締役1名以上が必要
  • 取締役会を設置している → 取締役3名、監査役1名以上が必要

となっています。

定款では

  • 「取締役1名以上」
  • 「取締役1名以上5名以下」
  • 「取締役3名以下」

というように自由に人数の範囲を決めることができます。

株主総会の議長

株主総会の議長を誰がやるのか?
teacher
一般的には代表取締役・社長が株主総会の議長となります。

定時株主総会の招集時期

定時株主総会をいつやるのか?
teacher
会社法では「株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないもの」と規定されています。時期が明記されているわけではありませんが、一般的には「毎事業年度の終了後3カ月以内」と設定します。

基準日

株主を判定する基準になる日はいつか?
teacher
株式会社の場合、一定の日(基準日)を決めて、その日の段階で株主名簿に記載されている株主が権利(株主総会の議決権)を行使できる、という取り決めをする形になります。この基準日が明確でないと、株を譲渡した場合、「譲渡前の株主と譲渡後の株主のどちらに権利があるのか?」曖昧になってしまうため、基準日を定款で設けるのです。

定款無料テンプレート

定款テンプレート/株式会社・取締役会なし

定款テンプレート/株式会社・取締役会設定

定款テンプレート/合同会社

定款無料テンプレートの利用から、定款認証までの手順

手順その1.使うテンプレートを決める

定款は、大きく分けて

  • 株式会社か?
  • 合同会社か?

で分類されます。

また、株式会社の中でも

  • 取締役会を設置するか?
  • 取締役会を設置しないか

でも、定款のパターンが異なるのです。

そのため、当サイトでは

  1. 定款テンプレート/株式会社・取締役会なし
  2. 定款テンプレート/株式会社・取締役会設定
  3. 定款テンプレート/合同会社

の3種類のテンプレートを用意しているので、必要に応じてダウンロードしてください。

  • 定款テンプレート/株式会社・取締役会なし

を選ぶ方が多いはずです。

手順その2.赤字部分を自分の会社の形に変える

変更すべき事項は赤字」で記載しています。

  • 会社名
  • 目的(事業内容)
  • 本店所在地
  • 事業年度
  • 資本金
  • 発行可能株式総数
  • 発起人
    ・・・

が「赤字」にしてある変更部分です。

こちらを自分の会社の仕様に変更します。

手順その3.発起人全員の記名押印をする

定款では

発起人全員の実印による「押印」

が必要になります。

定款の認証時に「鮮明出ない押印」などは認証が認められないケースもあるので、しっかり押印しましょう。

手順その4.定款を製本する

これといった決まりがあるわけではありませんが、一般的な方法での製本をおすすめします。

  1. 表示を作る
  2. 表示と各ページ、裏表紙を合わせる
  3. ステープラー・ホッチキスで止める
  4. 各ページのつなぎ目に発起人全員が実印で押印する(契印)
  5. ステープラー・ホッチキスで止めた部分に製本テープを貼る
  6. 製本テープ部分(表・裏)にも、発起人全員が実印で押印する(契印)

手順その5.公証役場で定款の認証を受ける

定款は作成しただけでは意味がありません。「認証」を受けて、はじめて「定款」が公的に認められたことになるのです。

誰に認証してもらうのか?

会社の本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証人に認証してもらう必要があります。

公証人は公証役場にいます。

本店の所在地から、管轄する法務局を探す
その法務局に所属する公証役場を探す

定款の認証に必要な書類は何?

定款:3通

1通:公証役場保存用
1通:登記用の謄本
1通:会社保存用

の3通分が必要になります。

発起人全員の印鑑証明書(各2通

定款に押印した印鑑が実印であることを証明する「印鑑証明書」が必要になります。全員分です。

1通:定款認証用
1通:登記用

収入印紙(4万円分

4万円分の収入印紙が必要になります。

電子定款なら収入印紙不要

電子定款とは

法務省の登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトを使用して、PDF化した定款を送信して、認証してもらう仕組みのこと

を言います。

電子定款を利用する場合には、この4万円分が不要になるため、コスト削減につながります、「PDF化する」「ICカードを読み取るICカードリーダライター」など専用のソフトの費用が発生します。また、若干ややこしい手順になってしまうので、はじめての方は、かなりてこずってしまうかもしれません。

認証費用(5.2万円

約52,000円

  • 定款の認証費用:50,000円
  • 謄本代:2,000円
委任状(代理人に行ってもらう場合)
  • 委任状
  • 代理人の印鑑(認印可)
  • 代理人の本人確認書類

行く前に事前チェックを依頼する!

公証役場へ定款の認証に行くときには

基本的には「発起人全員で行く」ことになります。委任状で代理人に依頼することもできます。

発起人全員のスケジュールを合わせて行ったのに、書類に不備があって、認証されなかったとなると大きな時間のロスにつながってしまうため

行く前に

  • 定款
  • 印鑑証明書
  • 委任状

などをFAXなどで送付してチェックしてもらうことをおすすめします。このときに訪問日も伝えておきます。

teacher
製本するのも結構な手間ですので、できるだけ事前のチェックで間違えをなくしてから、本番用の製本をし、公証役場に向かうべきなのです。

実際に公証役場に行く

事前にチェックを受けていれば、定款をその場で直されることはほとんどありませんが、その場でも直せるように実印は持っていきましょう。

問題なければ、数分で受理されます。

定款が受理されると

  1. 公証役場の保管用の定款に収入印紙を貼り、発起人の実印で消印をします。
  2. 残りの2通は「謄本」という朱印が押されるので、1通は法務局での設立登記時に利用します。
  3. もう一通は会社の保存用となり、銀行口座の開設時などに利用します。

これで定款の認証も完了です。

まとめ

定款とは?

  • 会社の基本ルールを定めるもの

であり、

  • 会社の設立登記の前に作成し、公証人に認証してもらう必要があるものです。

定款には

  1. 「絶対的記載事項」:絶対に記載しなければならない事項
  2. 「相対的記載事項」:決めたら記載しなければならない事項(定款記載がないと有効にならない事項)
  3. 「任意的記載事項」:記載するかどうかが自由な事項

という3つの項目があり、会社によって記載事項が変わってきます。

ただし、ほとんどの部分はテンプレートを利用する方がほとんどですので、テンプレートを利用すれば、それほど難しいものではありません。

定款が作成できたら

  1. 発起人全員が押印する
  2. 製本する
  3. 公証役場に事前チェックを依頼する
  4. 公証役場で認証してもらう

という手順を行います。

teacher
公証役場で「認証」が済んで、やって公的に定款が認められたことになるので、会社の設立登記に進めるのです。

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