
と、起業を検討している人の中にも、「起業で何が必要なのか?」分かっていない方がかなり多いかと思います。今回は起業前の準備チェックリストを解説します。
目次
起業する前の準備チェックリスト

- 事業アイデア
- 情報(業界情報、競合情報)
- 事業計画
- 設備や店舗のコスト試算、洗い出し
- 集客方法、広告宣伝、営業方法の洗い出し
- リピーター獲得、顧客定着の手法
- パートナー、提携企業の洗い出し
- プランB
- 資本金
- 経営者の生活資金
- 会社設立時に決めておく事項
- 見込客
です。

これらは「マスト(必須)」ではありませんが、網羅しておいた方が良い「ベター」なものばかりです。実務的には社判が必要とか銀行口座が必要とかもありますが、それらは誰でも用意できまし、ぎりぎりに用意しても間にあるものですから今回は省いています。
あくまでも、起業してから経営を成功させるために必要な準備です。
その1.事業アイデア

起業するのですから「事業アイデア」を基にして「事業計画」を作成します。「事業計画」を作成する前にラフな状態での事業アイデアが必要になります。
事業アイデア作成のポイント
数多く検討する
孫正義さんは20歳そこそこの時にソフトウェアの卸販売事業を立ち上げる段階で、1ヶ月間で40個の時牛計画を作成し、そのなかから1つの事業として、ソフトウェアの卸販売事業をチョイスしているのです。その後の成功は説明するまでもありません。
ここで重要なのは「数多くアイデアを出して比較する」ということです。
ソフトウェアの卸販売事業だけを思いついて起業したのではないということです。
40個もの事業計画を作って、どれが有望なのか?どこに勝機があるのか?・・・「徹底的に比較検討した中で有望なものがソフトウェアの卸販売事業だった。」というだけです。
- 数多く事業アイデアを出すからこそ、比較することができて有望な事業が見えてくる
- 数多く事業アイデアを出すからこそ、そのときの経験が経営に生かされる
メリットがあるのです。

その2.情報(業界情報、競合情報)

- 事業アイデア → こんなビジネスがあったら面白い
- 事業計画 → 事業内容、事業目的、市場規模、競合優位性、経営プラン、資金計画、収支計画・・・
という違いがありますから、事業計画を作成するためにはまず情報を入手しなければなりません。
- 業界情報(法改正やルール)
- 競合情報(シェア、シェアが多い上位企業の商品、サービス、ビジネスモデル)
- 市場規模(市場規模、今後の市場動向)
- 商品情報(シェアや売れ筋、販売のために必要なもの)
情報の入手先は
- 書籍
- 白書
- 業界で働く方からのヒアリング
- 競合のウェブサイト、IR(会社説明書)
- 実際に購入してみる、体験してみる
等があります。
おすすめなのは
- 競合企業のIR情報
- 実際に購入してみる、体験してみる
の2つです。書籍に書いてある情報は、薄っぺらい情報ばかりなので起業に直接的二役立つかというとそうではないことが多いのです。
競合企業のIR情報
IR情報というのは、上場企業が投資家に向けて会社の状況を説明するための資料のことです。
IR情報には、その会社の
- 経営数値実績
- 競合優位性
- 業界動向
- 業界シェア
- 今後の経営方針
等が記載されているため、近しい業態で起業するのであれば、参考になることは間違えありません。

と思われる方も多いかもしれませんが、大手の動向を知ることで、業界動向を知りながら「大手がやっていないこと」「大手がやらないこと」に勝機を見出すこともできるのです。
実際に購入してみる、体験してみる
これが最大かつ重要なポイントです。
脱毛サロンで起業しようとする方がいるのであればシェア上位5社の脱毛サロンは自分で体験してみるべきなのです。

これを実行しないのは論外です。
その3.事業計画

事業計画と一言で言っても、そのスタイルは千差万別です。
「企画書のようなライトなもの」もあれば「収支計画や資金計画まで詳細の数値がかかれたもの」もあります。
「事業計画をどのレベルで作るのか?」は目的によって異なるのです。
資金調達に必要(対外的に説明する必要性がある)というのであれば
- 会社概要
- 製品・サービス
- 市場分析
- 競合優位性
- リスク
- 戦略
- 戦略の実行手段
- 経営プラン
- 直近5年間の収支計画
- 直近5年間の資金計画
などが必要になります。
自分だけで使うのであれば
- 経営方針
- 製品・サービス
- 競合比較
- 競合優位性
- 戦略の実行手段
- 直近5年間の収支計画
があれば十分とも言えます。
自分だけが見るのであれば重要なのは
- 敵(競合)はどこか?
- どうやって敵(競合)に勝つのか?
- 何を目的にして経営をするのか?
- 何にこだわって商品やサービスを提供するのか?
- どういうマイルストーンで経営を進めていくのか?
という点なので「誰かに説明する」ということは省いてしまっても構わないのです。

と思うかも知れませんが・・・
タイムイズマネー
です。

不要な会社の説明をするための資料を作り込んだところで、経営の成功率が上がるわけではありません。同じ時間を使うのであれば「どうやって敵(競合)に勝つのか?」にこだわった方が経営の成功率は上がります。
立派な資料作成よりも「どうやって勝つのか?」にこだわりましょう。
その4.事業に必要な設備や店舗のコスト試算、洗い出し

事業計画、収支計画(PL)、資金計画を作成するにはコストの洗い出しをしなければなりません。
- オフィスは必要なのか?
- オフィスを借りる賃料の予算は?
- 店舗は必要なのか?
- 事業にマストな設備は何があるのか?いくらか?
- 事業に合った方が良いベターな設備は何があるのか?いくらか?
・・・
コストがクリアに流らない限り、計画は作れませんから
- 必ず必要なもの
- 合った方が良いもの
を分類しながら
- 質の悪い安いものの価格
- 中間の価格
- 質の良い高いものの価格
ぐらいはコストを抑えておくと良いでしょう。
例えばオフィスに関しては
- はじめは実家で良い = コスト0円
- SOHOのオフィスを借りる = コスト月額10万円
- 普通にオフィスを借りる = コスト月額20万円
と3パターンぐらいは候補があるはずです。

その5.事業に必要な集客方法、広告宣伝、営業方法の洗い出し

経営はどんなビジネスでも、「お金を払ってくれるお客さん」がいなければ成り立ちません。
「どうやって、お客さんを集めるのか?」は「=売上」の構築方法ですから、かなり重要度の高い検討事項と言えます。
- インターネット広告
- DM
- 折込チラシ
- 店舗のサイン、のぼり
- 電話営業
- メール営業
- イベント集客
- セミナー集客
- PR
- 口コミ活用
- SNS
・・・
起業時にできる集客方法は限られてきますが、それでも、かなりの集客方法があるのです。
ここでチェックしたいポイントは
- 1件の顧客を獲得するのに使うコスト
- どのくらいの確率で顧客化できるか?の割合
です。
1件の顧客を獲得するのに使うコスト
- DM = 10万円で100人の顧客が獲得できる = 1人の顧客獲得に使うコスト1000円
- インターネット広告 = 20万円で50人の顧客が獲得できる = 1人の顧客獲得に使うコスト4000円
ということになります。
この場合は、DMの方が効果的な集客方法と判断できます。

インターネットや書籍の情報で調べることもできますがピンポイントの情報は得られない可能性が高いです。
その業界で働く知人・友人に調べてもらうことが良いでしょう。
多くの方は会社員時代に経験した事業で起業する方が多いので、その時の経験や人脈でヒアリングするべきです。
どのくらいの確率で顧客化できるか?の割合
電話営業であれば
- 100社営業電話
- 10社にアポ
- 5社が提案(商談か)
- 2件契約
という流れになるので、100社営業すれば2社が顧客化できて、2%の確率となります。


これも同じですが
- 会社員時代の経験
- 同じ業界で営業している方にヒアリング
- プレ営業をしてみる
等があります。

その6.リピーター獲得、顧客定着の手法

さらに重要になるのはリピーターの獲得方法です。
経営で成功するためには「リピーターがどのくらいいるのか?」が大きな分岐点になります。
顧客が定着しないビジネスでは、穴の開いたバケツで水をすくっているのと同じですから、どんなに頑張ったって、水はたまりません。
スーパー営業マンがいても、顧客が定着しない商品やサービスの場合は、すぐに息切れしてしまいます。
リピーターを作るためには
- 商品やサービスの質を高める
- 商品やサービスにフェーズごとの違いを作る
- リピート利用時の特典を用意する
- 顧客へDMを送る
- 顧客へメールを送る
- 顧客へ電話連絡して継続利用を促す
- 使い続けることを促進させるセミナーを行う
・・・
等があります。

その7.パートナー、提携企業の洗い出し

自社だけで完結できるビジネスではない場合に、パート―ナー企業、提携企業の存在が経営上重要になることもあります。
- 卸事業であれば、販売先の確保と同じぐらい重要なのは仕入先の確保です。
- 広告代理店であれば、優秀な制作会社がいるかいないかで広告の効果も、広告代理店の評価も変わってきます。
- 不動産会社であれば売却してくれるオーナーとのコネクションが需要になります。

その8.プランB

経営をスタートすれば「事業計画の通りに行かない」のが実情です。99%の会社は事業計画の通りにならないと言ってもいいぐらいです。
成功させるために事業計画という道しるべを作るのですが「その通りに進まない時にどう対応するのか?」が重要なのです。
プランB
と言いますが、一番重視しているプランAが上手くいかなかったときにだけ発動するプランBをあらかじめ準備しておくことが非常に重要なことなのです。
- 電話営業が思った通りの成果が上がらない時
- 広告宣伝が思った通りの成果が上がらない時
- 経営計画の数字通りに収支が進まない時
- 顧客の定着が思った以上に悪い時
・・・
「どうするのか?」をその時に考えていては手遅れになってしまう可能性もあります。
少なくとも、
- プランB
- プランC
ぐらいまでは用意しておくと、安心して経営が進められます。
例えば
プランAは商品の自社開発で事業計画を検討するが、もし自社開発した商品の売れ行きが鈍い場合は、別の会社の商品の代理販売をして、まずは損益をプラスにすることをプランBとしよう。代理販売で顧客が確保できてから、商品の見直しを計って、もう一度プランAの事業計画に戻せばいい。
というような考え方です。

その9.資本金

資本金がなければ経営ははじまりません。
コストと売上がある程度読めれば資本金も設定できます。
多くの事業計画書では
とするものが多いのですが、これは損益分岐までの道のりによってかなり変わってきます。
すでに見込客がいて、1か月目から損益分岐ができるのであれば3か月分でも問題ありません。
継続課金モデルで1件の客単価が低い場合は1年分は必要になります。
- 損益分岐までにかかる期間
- 損益分岐の確実性
によって、必要な資金額は変わってくるのです。

起業資金の資金調達方法はこちら
その10.経営者の生活資金

資本金と混同されやすいのですが、経営者も生活していかなければなりません。
会社の存続と経営者の生活は両立しなければならないのですから、生活資金も重要な決めておくべき要素となります。

筆者の場合は
「起業する前に500万円の貯金をして、2年間売上ゼロ、給料ゼロでも暮らせる資金(月20万円)を確保したうえで、2年で結果でなけれきっぱりあきらめる」
という決定をして、500万円の資金を確保しました。
資本金から役員報酬で利益が出ていなくても、経営者に給料が支払われる形を取ることもできますが、まずは役員報酬は0円で、損益分岐してから利益から役員報酬を受け取る形の方が、損益分岐が早く実現できるのでおすすめです。赤字なのに給料をもらうことになれてしまうことは経営者にとって良いことではないのです。
「資本金」と「生活資金」は区別して用意すべきです。
その11.会社設立時に決めておく事項

会社設立のときには
- 会社名
- 会社概要
- 会社住所
- 定款
- 資本金
- 決算月
- 取締役会の有無
などを決めておく必要があります。
- 会社名
- 定款に載せる事業内容
- 決算月
を決める必要がありますが、それほど重要ではありません。
会社名だけは
- 営業時に説明しやすい
- 覚えやすい
- 会社名からサービス内容、事業内容がわかる
ものが望ましいと言えます。
その12.見込客

可能な限り「見込客」を集めておきましょう。
会社経営はスタートダッシュが重要なポイントとなります。
損益分岐点が訪れるのも早くなります。

自分の人脈を駆使して
- 商品やサービスのアドバイスをもらう
ことも兼ねて、起業前に商品やサービスのヒアリングをして
- 商品やサービスの感触が良ければ見込客化
- 商品やサービスの感触が悪ければ悪い理由を聞いて改善材料とする
形が良いと思います。
どちらに転んでも、起業前の準備としては良いことなのです。
まとめ
起業前のチェックリストは
- 事業アイデア
- 情報(業界情報、競合情報)
- 事業計画
- 設備や店舗のコスト試算、洗い出し
- 集客方法、広告宣伝、営業方法の洗い出し
- リピーター獲得、顧客定着の手法
- パートナー、提携企業の洗い出し
- プランB
- 資本金
- 経営者の生活資金
- 会社設立時に決めておく事項
- 見込客
です。
「準備がどれだけできているのか?」は起業後の経営の成功率に直結します。
見切り発車はおすすめしません。
- 適切な計画
- 適切なスキル
- 適切な手順
で起業をすることをおすすめします。
「起業するときに必要なものって何?」
「起業したいんだけど、まず何を準備すればいいのか?わかならい」