という起業を検討している方も多いのではないでしょうか?今回は起業の仕方について順を追って解説します。
目次
通常の起業の手順は間違っている??
一般的に起業の手順というと・・・
- 起業アイデアを決める
- 起業のビジネスモデル/事業のポジションを決める
- 事業計画を作る
- 事業計画を基に資金調達をする
- 会社設立をする
という流れになるかと思います。
この手順で進めてしまうと・・・
- 「思った以上に自分一人でやるのがしんどい」
- 「未来が見えないし、売り上げも上がらない。」
- 「事業計画と現実のかい離が激しい」
- 「思った以上に商品が売れない」
・・・
と様々な問題にぶちあたってしまうのです。
ステップ1.「起業する意義を決める」
「起業する意義」は
です。
「起業する目的」と言い換えてもよさそうですが「意義」にしたのには理由があります。
「目的」という表現の場合
- 大金持ちになりたい。
- 経営者になってモテモテになりたい。
- 自分の名前を世間に知らしめたい。
という自己本位の要素も含まれてしまいます。これらの欲求が悪いものではなく、過去に成功した経営者の中にも、「単純にお金持ちになりたかった。」という方も少なくありません。
しかし、それでもあえて「意義」にしたのは
他人に貢献することの方が力が発揮される
からです。
- 世の中にない○○というサービスを作って世の中をより豊かにする
- 世の中にない○○という商品を作って世の中をより豊かにする
- ○○で困っている人を救う
- ○○という業界の市場規模を拡大する
・・・
大きすぎる「意義」だと尻込みしてしまうかもしれませんが、
人には「承認欲求」があり、
- 認めてほしい
- ほめられたい
- 称賛されたい
という感情があるのです。
一方で「お金」と「幸福度」の関係を見ると
年収800万円以上の方になると、感じる「幸福度」は一定の割合になってしまうのです。
会社経営は非常に困難を極めるものです。
サラリーマン時代にはない
- 借金が自分に降りかかってくるプレッシャー
- 責任を持って商品やサービスを提供しなければならないストレス
- 日々の売上・利益との戦い
- 従業員を食わせていかなければならないプレシャー
- 営業しても、断られ続ける経験
色々な困難が待ち受けています。
だからこそ、社会に対する貢献、他人に対する貢献の「意義」「大儀」を設定する方が良いのです。
「起業する意義」を決めることが起業の一番はじめのステップなのです。
「起業する意義」は、いままでの人生経験に基づいて決まってくるものです。
例えば
というような考え方になります。
ステップ2.「標語(マントラ)を決める」
ビジネス書などでは「ミッションを決める」とされていることが多いのですが
「ミッション」はやや説明的な文章であり、「標語(マントラ)」はCMの決めの言葉になりそうな「ミッション」をわかりやすく表現した言葉と言っていいでしょう。
「標語(マントラ)」を直訳すれば「呪文」です。
と言っていいでしょう。
「標語(マントラ)」があることで
- 経営方針に迷いが出ても、原点に戻れる
- 経営状態が悪化しても、原点に戻れる
- 従業員と経営者が、同じ原理原則で動ける
のです。
マントラの例
- スターバックス:満足を味わうひととき
- IBM:考えよ
- NIKE:本物のアスレチックパフォーマンス
- コカ・コーラ:世界をリフレッシュ!
- 赤十字:苦しみを止めよう!
- サウスウエスト航空:車を運転するよりずっといい!
スターバックスの「満足を味わうひととき」を見てもらえれば、イメージしやすいかと思いますが
- ふかふかのソファー
- ゆったりしたスペース
- おしゃれなインテリア
- ジャズの音楽
- 美味しいコーヒー
・・・
何を取ってみても、「満足を味わうひととき」を実現させるためにスターバックスは、サービス提供をしているのが分かるかと思います。安いコーヒーを提供するマントラではないのです。
「満足を味わうひととき」を実現するのがスターバックスであることを従業員も理解しているのですから、失礼な態度を取ってくる店員もいません。牛丼チェーンやマクドナルドとは違うのです。
ステップ3.「小さくビジネスをはじめる」
ここが大きなポイントと言っていいでしょう。
「起業」と聞くと、さも作り上げられた立派な事業計画が必要なイメージがありますが・・・
100歩、譲って「美容室で10年の経験があり、独立してほぼ同じ美容室を作る」のであれば、ある程度の売上の予測、コストの予測ができるかも知れませんが
それでも、社員時代に経営数値を見ていたわけではないはずです。
だとすると、同じ業種で起業するにしたって、「計画が絵に描いた餅に終わる」可能性は格段に高いのです。
だからこそ、小さくビジネスをはじめて
- 何が問題になるのか?
- 本当に売れる可能性があるのか?
- 顧客はそのサービスを必要としているのか?
- 売るために何が必要なのか?
- 売るためにどのくらいのコストがかかるのか?
を起業前に知っておくべきなのです。
どうやって起業する前に小さくビジネスをはじめるの?
- 副業でやる
- 会社の中でテストする
- 週末にやる
- 友人、知人、家族に販売してみる
リスクを取らずに(安定収入を失くす前に)小さくビジネスをはじめることはいくらでもできます。
- 副業禁止の会社なんだけど・・・。
- 週末は家族と過ごすのであまり時間が取れないんだけど・・・。
言い訳はいくらでもあるかと思いますが
「副業がばれて会社をクビになるリスク」と「予備データ、テスト経験がない状態で起業が失敗するリスク」
「週末に時間が取れずに家族関係がおかしくなるリスク」と「起業が失敗して家庭が壊れるリスク」
天秤にかけてどちらがリスキーか考える必要があります。
ステップ4.「テストケースからビジネスモデルを決定する」
「小さくビジネスをはじめる」というテストをすることで
- この商品やサービスが売れるのか?
- 顧客が不満を感じる点
- 有効な広告、マーケティング戦略
- 競合との違い
- 改善点
- この商品やサービスを作るのに必要なコスト
- コスト削減の方法
- ターゲットは誰になるのか?
- 事業ドメインはどこにするべきか?
などが見えてきます。
ここでやっと、ビジネスモデルが見えてくるのです。
このビジネスモデルの決定を想像やウェブ上のアンケートデータ、市場データ、ニュースだけで構築してしまう方がいます。想像で作られたビジネスモデルと、実際にやってみた状況でのビジネスモデルの精度とは比べ物にならないのです。
ビジネスモデルを表現する方法には色々ありますがビジネスモデルを作るポイントは
シンプルイズベスト
A41枚でまとめられるほど簡潔なものでなければ、成立しません。
- どんな商品なのか?
- どこが競合と違うのか?
- 何が売りなのか?
シンプルにビジネスモデルをまとめる必要があります。
数十ページに大作でビジネスモデルを解き明かしても、成功するとは限りません。A41枚で興味を持ってもらえない商品やサービスということは、そもそも顧客に伝わらない、ビジネスモデルとしてのパワーが弱いことを意味しているのです。
- 1分で話せる
- A4:1枚
でビジネスモデルを表現することを考えましょう。それで経営者仲間や銀行、投資家の受けが良くなければ、良いビジネスモデルではないということです。
既存のビジネスモデルの方が成功率は高い
起業というと、画期的なビジネスモデルをイメージしがちですが、画期的であれば良いというものではありません。
既存のビジネスモデルは、すでにビジネスとして収支が成立しているから、存在するのであって、それを真似することは成功率を高める重要な方法なのです。
とする必要はないのです。
パイオニアは得られる利益が大きい反面、失敗の確率は数十倍になってしまうものです。
と考えるべきなのです。
ステップ5.「目標とマイルストーンを決める」
ここまで来れば、後は「目標」を決めるフェーズにきます。
筆者の場合は
- 半年後
- 1年後
- 3年後
の目標を「数値で」決めて起業しました。
- 半年後:黒転、顧客数50名
- 1年後:月利益100万円、顧客数200名、
- 3年後:月利益300万円、顧客数1000名、新事業○○への参入
ここでのポイントは
遠すぎる目標は現実性がない
大企業であれば中期計画は5年~10年のスパンで策定することが多いのですが、起業したての会社の場合は3年後までで十分と言っていいでしょう。かといって、1年後までの目標ではその後のプランが描けないため、継続的な成長が見込めません。
- 半年後
- 1年後
- 3年後
の目標を決めることが良いと考えます。
定量的な数値で決める
目標、マイルストーンは事業計画の基準となる数値ですから、数値でないと意味がありません。
- シェア○○%
- 売上○○万円
- 営業利益○○万円
- 利益率○○%
- 顧客数○○人
・・・
比較的なんでも良いのですが、数値で決めるということが重要になります。期限と数値が決めれば、逆算することで事業計画が決まってくるのです。
ステップ6.「事業計画を作る」
- テスト経験
- ビジネスモデル
- マイルストーン
- 目標
が決まれば、後は逆算して事業計画に落とし込んでいくだけです。
半年後までに売上が○○円なければならない。
売上が○○円にするためには顧客が○○人いなければならない
顧客が○○人必要ということは商談数はその10倍必要だ
商談数が○○回必要ということは電話営業、メール営業はその10倍必要だ。
1週間の営業活動は電話○○件、メール○○件で○○時間必要だ。
・・・
上手くいかなかった場合を想定すると12カ月分売上ゼロでも耐えられる資金が必要
設備費用、賃貸費用が500万円だから、初期で必要な資金は1500万円
自己資金が500万円あるので1000万円は資金調達する必要がある
1000万円なら日本政策金融公庫で借りられそう
同時に200万円の助成金も通ればラッキーで申込んでおこう
と、一個ずつテストでの経験則を入れ込みながら、計算していけば事業計画や資金計画が自然とできてくるはずです。
このとき、あまりにもはじめに設定した目標、マイルストーンの数字が高すぎて、事業計画にリアリティがなくなってしまった場合は、目標、マイルストーンから見直す必要が出てきます。
ステップ7.「会社を作る」
ここまでくれば
- 会社を退職する
- 会社の設立資金を用意する
- 会社を設立する
- 必要なオフィスや設備を用意する
- 事業開始
と・・・
教科書通りの会社設立の手順に従ってすすめていけば問題ありません。
まとめ
成功率を高める起業の手順とは
- 起業する意義を決める
- 標語(マントラ)を決め
- 小さくビジネスをはじめる
- テストケースからビジネスモデルを決定する
- 目標とマイルストーンを決める
- 事業計画を作る
- 会社を作る
です。
とくに重要な手順が「小さくビジネスをはじめる」です。
多くの起業家は「小さくビジネスをはじめる」を実行せずに事業計画を作成したり、ビジネスモデルを作ってしまうため、起業後の事業が計画通りに行かないことで失敗してしまうのです。
安定収入を確保しながら「小さくビジネスをはじめる」テストを行えれば、失敗しても、何回でもやり直すことができます。成功の道筋が見えてきたら、やっと事業計画を検討すれば良いのです。
- 想像のビジネスモデル
- 絵に描いた餅の事業計画
で起業することほど、失敗する確率が高いことはないのです。
「起業に興味があるけど、仕方が分からない。」