会社設立登記申請前に必要な「資本金の払い込み」の正しいルール

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「資本金の払い込みってどうやってやるの?」
「資本金はいつまでに振り込めば良いの?」
「資本金の入金口座はどうすれば良いの?」
・・・

はじめての会社設立の場合、「資本金をどう扱って良いのか?」わからない方がほとんどです。今回は、会社設立登記申請前に必要な「資本金の払い込み方法」について解説します。

会社設立登記には「資本金の払い込み証明書」が必要

会社設立登記の流れ

  1. 出資の履行(出資金の払い込み)
  2. 登記に必要な書類と登記申請書の作成
  3. 書類の最終チェック
  4. 登記申請(法務局)
  5. 不備があれば補正(訂正)
  6. 登記完了(申請から1週間)
  7. 会社の登記事項証明書、印鑑証明書の取得

会社設立登記申請に必要な書類チェックシート

取締役会を設置しない会社の場合

必要書類 署名捺印者 印鑑 提出条件 入手場所
登記申請書 代表取締役 会社実印 ○必須 法務局ウェブサイト「株式会社設立登記申請書」
登録免許税納付用台紙 ○必須 自分で用意
CD-R、DVD-R ○必須 自分で用意
定款 発起人 個人実印 ○必須 公証役場で定款の謄本取得
発起人の決定書 発起人 個人実印(個人印可) ○必須 自分で用意
取締役の就任承諾書 取締役 個人実印 ○必須 自分で用意
代表取締役の就任承諾書 代表取締役 個人実印 ○必須 自分で用意
取締役全員の印鑑証明書 ○必須 取締役の市区町村
資本金の払い込みを証明する証明書 代表取締役 会社実印 ○必須 自分で用意
取締役などの調査報告書 取締役(監査役の場合もある) 個人実印(個人印可) △現物出資がある場合 自分で用意
資本金額の計上に関する証明書 代表取締役 会社実印 △現物出資がある場合 自分で用意
印鑑届出書 代表取締役 会社実印、個人実印 ○必須 法務局ウェブサイト「印鑑届書」
印鑑カード交付申請書 代表取締役 会社実印 ○必須 法務局ウェブサイト「印鑑カード交付申請書」

取締役会を設置する会社の場合

必要書類 署名捺印者 印鑑 提出条件 入手場所
登記申請書 代表取締役 会社実印 ○必須 法務局ウェブサイト「株式会社設立登記申請書」
登録免許税納付用台紙 ○必須 自分で用意
CD-R、DVD-R ○必須 自分で用意
定款 発起人 個人実印 ○必須 公証役場で定款の謄本取得
発起人の決定書 発起人 個人実印(個人印可) ○必須 自分で用意
取締役の就任承諾書 取締役 個人実印 ○必須 自分で用意
代表取締役の就任承諾書 代表取締役 個人実印 ○必須 自分で用意
監査役の就任承諾書 監査役 個人実印(個人印可) ○必須 自分で用意
代表取締役の印鑑証明書、代表取締役以外の役員の本人確認証明書 ○必須 代表取締役の市区町村、本人確認証明書は住民票やマイナンバーカード、免許証のコピー
資本金の払い込みを証明する証明書 代表取締役 会社実印 ○必須 自分で用意
取締役などの調査報告書 取締役(監査役の場合もある) 個人実印(個人印可) △現物出資がある場合 自分で用意
資本金額の計上に関する証明書 代表取締役 会社実印 △現物出資がある場合 自分で用意
印鑑届出書 代表取締役 会社実印、個人実印 ○必須 法務局ウェブサイト「印鑑届書」
印鑑カード交付申請書 代表取締役 会社実印 ○必須 法務局ウェブサイト「印鑑カード交付申請書」

となっています。

つまり、

定款の認証が終わったら、まずやらなければならないことは

出資の履行(出資金の払い込み)

をして

資本金の払い込みを証明する証明書を作成する

ことなのです。

「資本金の払い込み」ルール

資本金は発起人の代表者の個人口座に入金する

まずやらなければならないことは

発起人の代表者の個人口座に資本金を入金する

ということです。

発起人が複数いる場合は、1名を発起人の代表者と決めて、その個人口座に資本金を入金します。代表者はどうやって決めても構いませんが、通常は、代表取締役になる方が決まっているはずですので、代表取締役を代表者にすることが一般的です。

「個人口座じゃなくて、会社を作るんだから法人口座ではダメなの?」

この時点では、登記が完了していないので、まだ、法人はできていない段階です。法人がないのですから、銀行も、法人口座を開設してくれません。そのため、発起人の個人口座に入金するのです。

「発起人以外の個人口座に資本金がある場合はどうするの?」

発起人の個人口座に資本金を移動させる必要があります。発起人以外の個人口座に資本金があったとしても、会社の資本金としては認められないのです。

「銀行の個人口座は新規で開設する必要があるの?」

すでにお持ちの個人口座を利用しても問題はありません。ただし、過去の預金残高などがあると、混乱してしまうことと、今後もその口座を個人で使い続けるのであれば、登記が終わるまでは個人口座として利用することができません。

そのため、

会社設立登記用の資本金の払い込みをする個人口座は、新規で開設すること

をおすすめします。

個人口座であれば、銀行に行けば数分で口座開設できますので、新規で作ってしまった方が手っ取り早いのです。

「個人事業主から法人成りをする場合は、個人事業主の屋号の口座を使っても良いの?」

ダメです。

個人事業主の屋号で開設した銀行口座は、個人口座ではありません。そのため、屋号の銀行口座に資本金を入金しても、「資本金の払い込み」とは認められないのです。

個人事業主の時代に、個人名で開設した銀行口座であれば、個人口座ですので「資本金の払い込み」として認められます。

「資本金の払い込み」は「定款の認証」後

「資本金の払い込み」は「定款の認証」前では、承認されません。

「資本金の払い込み」は「定款の認証」後に、行う必要があるのです。

「資本金の払い込み」の後、2週間以内に会社設立の登記申請を行わなければならないので、良いタイミングで「資本金の払い込み」をする必要があります。「定款の認証」後であれば、「資本金の払い込み」はいつまでにという期限はありません。

「資本金の払い込み」証明書を作成したら、資本金は使ってもいいの?

「資本金の払い込み」証明書の作成後であれば、資本金は使っても構いません。

ただし、この資本金は設立登記する会社のものですので、使えるのは会社の運営に関する目的に限られます。

  • 個人目的の使用 → ×
  • 法人目的の使用 → ○

ということになります。

会社の設立後も、脱税を疑われないためには「個人利用目的の口座」と「法人利用目的の口座」は、完全に分離して管理する必要があります。これは税理士や会計士に口を酸っぱくして言われることですが、ここをおろそかにしてしまうと、税務署に無駄に追及される可能性があるのです。

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「資本金の払い込み」で使うのは個人名義の口座ですが、「資本金の払い込み」で使っている以上、「法人利用目的の口座」になってしまっているのですから、個人利用目的で使うことは避けなければならないのです。

だからこそ、「資本金の払い込み」用には混同しないように新規の銀行口座を開設するか、今後絶対に使わない休眠口座などを活用することをおすすめします。

「資本金の払い込み」方法

発起人が一人の場合

発起人が一人の場合は、通帳の表面に「口座開設者(発起人)の氏名」が記載されます。

無記名での入金 = 口座保有者(発起人)の入金

と考えることができるので、定款の認証後に「資本金分の入金」が確認できれば、問題ありません。

例:発起人の普通預金口座

定款認証日:平成30年12月9日

年月日 概要 お支払金額(円) お預かり金額(円) 差引残高(円)
30-12-10 新規 1,000,000 1,000,000

資本金100万円の入金が定款認証日以降に、発起人名義の通帳(普通預金口座)に入金されているのでOK

発起人が複数名の場合

発起人が複数名いる場合は

振込時に「振込者の名義」と「出資額」がわかるように入金します。

口座を保有している発起人代表者に関しては、名義を載せなくても「入金者」であることがわかるので「名義」を表示させる必要はありません。

ただし、定款認証日以降に入金しなければならないので、それ以前に残高があって、そのお金を資本金として利用したい場合は、一旦出金してから、再入金するという手順を取る必要があります。

例:発起人代表者の普通預金口座

定款認証日:平成30年12月9日

年月日 概要 お支払金額(円) お預かり金額(円) 差引残高(円)
30-12-8 400,000
30-12-8 引出 400,000 0
30-12-10 預金機 400,000 400,000
30-12-11 振込 ヤマダイチロー 300,000 700,000
30-12-11 振込 タナカタカシ 300,000 1,000,000

資本金100万円の入金が定款認証日以降に、発起人代表者名義の通帳(普通預金口座)に、発起人の名義が掲載された状態で入金されているのでOK

資本金の払い込みを証明する証明書の作り方

1ページ目

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払い込みがあったことを証する書面
(捨印)

当会社の設立により、発行する株式につき、
次のとおり発行価額全額の払い込みがあったことを
証明します。

払い込みがあった金額の総額  金1000万円
払い込みがあった株数  100株
1株の払込金額  10万円

平成○年○月○日(払い込みがあった日)

(本店) 東京都○○区○丁目○番○号○ビル○階
(商号) ○○株式会社
代表取締役 山田 太郎 (代表印)

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2ページ目

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通帳の表紙

通帳の表紙裏

払込の明細ページ

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1ページ目と2ページ目を製本する

ステープラーなどでとめます。

ページつのつなぎ目に押印する

代表者印でページのつなぎ目に押印します。複数枚になるときは、すべてのつなぎ目に押印する必要があります。

現物出資の場合の「資本金の払い込み」

「お金による出資」であれば、上記の手順でそれほど問題がなく、スムーズに証明書の作成ができるかと思います。

しかし、会社の資本金の出資には「現物による出資」という方法も認められています。

「現物出資」がある場合は、設立時の取締役などの調査報告書を作成します。

現物出資の手続きの流れ

  1. 現物出資財産の価値を調査する
  2. 定款に必要事項を記載する
  3. 「調査報告書」を作成する
  4. 「財産引継書」を作成する

「財産引継書」は、「調査報告書」の付属書類として提出が必要になります。現物出資財産が出資者から会社側に渡ったことを証明するための書類になります。

現物出資が500万円以下の場合

  • 取締役の調査報告書

現物出資が500万円以下の場合

  • 取締役の調査報告書
  • 弁護士や税理士などの専門家の証明書
  • 不動産については、不動産鑑定士の鑑定評価書

が必要になります。

調査報告書例

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調査報告書

私たちは、株式会社○○の設立時取締役・設立時監査役に選任されたので、会社法第46条の規定に基づき調査を行ったところ、その結果は下記のとおりであり、法令若しくは当会社の定款に違反し、または不当な事項は認められません。

1.定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項(会社法第33条第10項第1号に該当する事項)
定款に定めた、現物出資をする物は発起人○○であり、出資の目的たる財産、その価格ならびにこれに対し割り当てる設立時発行株式の種類および数は以下のとおりである。

車種 ○○
年式 平成○○年式
車台番号 世田谷○○ ○○○○
定款に記載された価額 金30万円
これに対して割り当てる設立時発行株式 普通株式30株

当該車の価格は、時価30万円以上と見積もられるべきところ、定款に記載した評価価格は金30万円であり、これに対して割り当てる設立時発行株式の数は30株であることから、当該定款の定めは正当なものと認める。

2.出資の履行については、別紙財産引継書により、完了していると認められる。
3.会社成立後に譲り受けることを約した財産、会社成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益、会社の負担する設立に関する費用の定めはない。

平成○年○月○日

○○株式会社

設立時取締役 山田 太郎 (個人の実印・認印)
設立時取締役 田中 一郎 (個人の実印・認印)

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財産引継書例

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財産引継書

私所有の下記財産を現物出資として給付します。

平成○年○月○日

東京都○○区○丁目○番○号○マンション○階
発起人 山田 太郎 (個人の実印・認印)

東京都○○区○丁目○番○号○ビル○階
○○株式会社御中

車種 ○○
年式 平成○○年式
車台番号 世田谷○○ ○○○○
定款に記載された価額 金30万円

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まとめ

資本金の払い込みは

  • 新規で個人口座を開設して入金すること
  • 定款認証後に行うこと

に注意していれば、それほど難しい作業ではありません。タイミングを間違えずに進めましょう。

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