起業時のコスト削減「電子定款の認証」のやり方を簡単解説!

man
「電子定款だと4万円安くなるんでしょ?」
「コストの安い電子定款認証にしたいけど、どうやって良いのか見当もつかない。」

という方も多いかと思います。実際に電子定款認証は、簡単そうで簡単ではありません。民間企業が作るネット系のサービスとは違って、お役所が作るネット系のサービスは、不便さの塊のような設計になっているからです。嘆いても変わりませんし、会社設立コストは少しでも抑えるべきです。今回は起業時のコスト削減「電子定款の認証」のやり方を簡単解説します。

「紙の定款認証」と比較して「電子定款認証」を利用すべき理由

teacher
答え.印紙代が不要だから

です。

定款は、印紙税法に定められた法律によって

定款

1 定款は、会社(相互会社を含む。)の設立のときに作成される定款の原本に限るものとする。

一通につき四万円

という税率が課されています。

「定款の原本には印紙税が発生する」ということがわかります。

しかし、国税庁のウェブサイトを見てみると・・

請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について

「注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならない。」

つまり、

電磁的記録・電子メールでの送信は、税文書を作成したことにはならない

と明言されているのです。

電磁的記録による課税文書の作成 → 印紙税がかからない

ということを意味しています。

これは国会答弁でも

第162回国会 質問主意書 内閣総理大臣答弁書 その五

「文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されない」

とされていますし、

税務署にヒアリングしても

staff
「電子契約書などでは印紙税は発生しません。」

とされています。

定款も、この考え方と同じですので

  • 紙の定款 → 印紙税:4万円が発生する
  • 電子定款 → 印紙税が発生しない

という違いが出てくるのです。

起業時の会社設立コストは、できる限り抑えた方が運転資金に回せる金額が増えるため、会社設立時は「電子定款による認証」を選択した方が良いのです。

ただし、メリットばかりではありません。

「電子定款認証」を利用するデメリットとは?

WEBやITに対する知識が不足していると時間を取られる!

電子定款認証は、それなりに面倒な作業が発生します。WEBやITに対する知識に明るい方であれば、それほど大きなタイムロスはなくて済みますが、

WEBやITに対する知識が不足している方の場合は

  • 何をどうしたら良いのか?
  • どのようにソフトウェアを利用したら良いのか?
  • どうやってデータを変換すれば良いのか?
    ・・・

わからないことだらけでで、大分時間を浪費してしまうことが考えられます。

タイムイズマネーですから、あまりに時間がかかってしまうようであれば、せっかく4万円のコスト削減ができたとしても、それ以上に時間コストが発生してしまうようだと、元も子もないのです。

これが「電子定款認証」を利用する最大のデメリットです。

多少のコストは発生する!

「電子定款認証」では

  • ICカードリダーライタ

というICカードの読み取り機が必要になるため、数千円ですがコストがかかってしまいます。

結局、公証役場に出向く必要がある

「電子定款認証」と言っても、インターネット上で申請から受け取りまで完結できるものではありません。

申請自体は、インターネット上でできるのですが、認証が完了したときに公証役場に出向いて、認証された「電子定款」のデータを受け取りに行かければならないのです。

電子定款認証の大まかな流れ

  1. 利用環境の確認(パソコンの用意)
  2. ICカードリーダライタの購入
  3. 電子証明書の取得
  4. 定款の作成
  5. 公証役場・法務局での事前の定款内容チェック
  6. 定款のPDF化
  7. PDF化した定款に電子署名する
  8. 申請用総合ソフトのダウンロード
  9. 申請者情報登録
  10. 申請用総合ソフトを使って定款を送信する
  11. 公証役場に認証された定款を取得しに行く(紙の定款の謄本を2通取得する)

電子定款認証のやり方

1.利用環境の確認(パソコンの用意)

「申請用総合ソフト」を利用するのですが、その「申請用総合ソフト」が動く環境のパソコンとインターネット回線が必要になります。

2018年4月時点では下記のように書かれています。(変更されるため、確認が必要です。)

ハードウェア
CPU 800MHz以上推奨(又はその相当品)
メモリ 1GB以上推奨
ディスプレイサイズ 1024×768以上を推奨
ハードディスク 300MB以上の空き容量(必須)
オペレーティングシステム(OS),WWWブラウザ,フレームワーク(FW)及びPDF閲覧ソフト
Windows 7 Windows 8.1 Windows 10
Internet Explorer 11
.NET Framework4.5.2
.NET Framework4.6
Adobe Acrobat Reader DC
Adobe Acrobat Reader 2017

※OSには,最新のサービスパックを適用した上でご利用ください。
※.NET Frameworkがインストールされていない場合は,Microsoft社のウェブサイトを参照し入手してください。

2.ICカードリーダライタの購入

ICカードリーダライタを使って「IC機能のある電子情報」を読み取ります。

ICカードリーダライタは、ICカードを差し込み、USBでパソコンにつなげて利用する機器です。安いもので1,000円~3,000円で販売されています。

NTTコミュニケーションズ ICカードリーダライタ ACR39-NTTCom 目安在庫=○

価格:2,424円
(2018/4/24 09:18時点)
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3.電子証明書の取得

電子証明書とは?

紙に実印で押印するのと同じように、電子定款には「電子署名」が必要になります。このときに「電子署名」を確実に〇〇さんが行ったことを証明できる証明書のことを言います。本人しか取得できない「電子証明書」をもって「電子署名」をするので「電子データ」でも定款の認証が可能になるのです。

電子証明書の発行機関

発行機関名 説明
公的個人認証サービス 地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律に基づいて、地方公共団体情報システム機構が発行し、市区町村が交付するもの。
「公的個人認証サービス」に係る電子証明書を取得するためには、住民票のある市区町村にマイナンバーカード(個人番号カード)の交付申請を行い、マイナンバーカード(電子証明書が標準的に組み込まれます。)の交付を受けます。
なお、マイナンバーカードの交付申請については、「マイナンバーカードの交付申請」(外部リンク)をご覧ください。
詳しくは、住民票のある市区町村へお問い合わせください。
おって、対応のICカードリーダライタについては、「公的個人認証サービスポータルサイト 個人番号カードに対応したICカードRW一覧」(外部リンク)をご覧ください。
ICカードリーダライタは、家電量販店等で3,000円程度で購入することができます。
また、公的個人認証サービスの電子証明書の有効期限等の詳細については、「公的個人認証サービスの電子証明書の有効期限等の確認について 」をご覧ください。
商業登記認証局 法務省が運営する「商業登記認証局」が発行するもの。※日本電子認証株式会社法人認証カードサービス含む
なお、電子証明書の申請受付、発行等は、法人等の登記を管轄する全国の登記所のうち指定を受けた登記所で行われています。
株式会社帝国データバンク TDB電子認証サービス Type Aに係る認証局が作成する電子証明書
東北インフォメーション・システムズ株式会社 TOiNX電子入札対応認証サービスに係る認証局が作成する電子証明書
日本電子認証株式会社 AOSignサービスに係る認証局が作成する電子証明書
AOSignサービスG2に係る認証局が作成する電子証明書
株式会社NTTネオメイト(旧株式会社NTTアプリエ) e-Probatio PS2サービスに係る認証局が作成する電子証明書
セコムトラストシステムズ株式会社 セコムパスポート for G-IDに係る認証局が作成する電子証明書
ジャパンネット株式会社 DIACERTサービスに係る認証局が作成する電子証明書
DIACERT-PLUSサービスに係る認証局が作成する電子証明書
地方公共団体組織認証基盤(LGPKI) 地方公共団体(LGPKI)の認証局が作成する電子証明書 ※USBトークンは使用できません。
政府共用認証局(官職認証局) 政府共用認証局(官職認証局)が作成する電子証明書

いろいろな電子証明書がありますが

マイナンバーカード(電子証明書が標準的に組み込まれます。)の交付を受けます。

と書いてあるように

「マイナンバーカード」で対応できます。

個人の方であれば、「マイナンバーカード」を申請しておけば問題ありません。

4.定款の作成

定款は、紙で申請するときと同じように作成します。違いはありません。

5.公証役場・法務局での事前の定款内容チェック

定款が完成したら、事前に「内容に問題がないか?」公証役場・法務局に事前チェックをお願いします。

定款を送信してから、間違えが発生すると二度手間になってしまうので、事前チェックは必ず行いましょう。

6.定款のPDF化

ワードなどで作成した定款をPDFへ変換する必要があります。

最近のWindows 10のパソコンであれば、はじめから印刷の選択肢に「PDFファイル」があるので、簡単にPDF化ができます。

また、PDF化をする代表的なソフトウェアに「Adobe Acrobat」があります。有料になりますが、体験版でも機能は利用できるので、無料で利用することができます。

Adobe Acrobat Pro DC 無料体験版

7.PDF化した定款に電子署名する

PDF署名プラグインソフトをダウンロードします。

PDF署名プラグインソフトと一緒にPDF署名プラグイン操作説明書をダウンロードして、説明書の通りにPDF化した定款に電子署名を実行します。

署名時には、ICカードリーダライタで、電子証明書を読み取る必要があります。

8.申請用総合ソフトのダウンロード

「申請用総合ソフト」をダウンロードします。

合わせて「電子公証の操作手引書」をダウンロードします。

9.申請者情報登録をする

登記・供託オンライン申請システムの左下の「申請者情報登録」から、情報登録をします。

10.申請用総合ソフトを使って定款を送信する

申請用総合ソフトを使うためには

  1. 政府共用認証局の自己署名証明書
  2. 申請者情報登録

の2点が必要になります。

政府共用認証局の自己署名証明書のダウンロード方法はこちらから確認ください。

「電子公証の操作手引書」や「ソフトのガイド」を見ながら、作成した署名済み定款PDFを送信します。

11.公証役場に認証された定款を取得しに行く

電子定款の認証が完了したら、公証役場に出向いて電子定款を受け取る必要があります。

「電子定款」は電子データですので、CD-RやUSBメモリーを持っていって、データとして受け取る必要があります。

また、「電子定款」とは別に「会社保存用」と「登記用」に紙の定款の謄本を2通取得します。紙媒体で定款の謄本を取得することができるのです。

まとめ

「電子定款」を利用するメリット

  • 4万円の印紙税が不要になる

「電子定款」を利用するデメリット

  • ITに関する知識が不足している人は手間や時間的なロスが大きい
  • 多少のコストは発生する
  • 完全WEB完結ではできず、公証役場に足を運ぶ必要は出てくる

電子定款認証の大まかな流れ

  1. 利用環境の確認(パソコンの用意)
  2. ICカードリーダライタの購入
  3. 電子証明書の取得
  4. 定款の作成
  5. 公証役場・法務局での事前の定款内容チェック
  6. 定款のPDF化
  7. PDF化した定款に電子署名する
  8. 申請用総合ソフトのダウンロード
  9. 申請者情報登録
  10. 申請用総合ソフトを使って定款を送信する
  11. 公証役場に認証された定款を取得しに行く(紙の定款の謄本を2通取得する)
teacher
基本的には、ある程度のITの知識がある方には「電子定款」をおすすめします。起業時の会社設立コストは少しでも下げておくべきだからです。たかが4万円ではありますが、多少の労力で4万円のコストが節約できるのであれば、運転資金に回すべきです。ややこしい面もありますが、落ち着いて一つずつ解決していけばとくに難しいものではありません。

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