という方も多いかと思います位。今回は「起業で退職前にしておくべき準備リスト」を作成しました、
目次
退職前の準備は起業の成功率を高める
会社で必要なものは
- ヒト
- モノ
- カネ
- 情報
の4つだと言われています。
起業時には複数名で起業しない限りは、すべてを自分で準備しなければなりません。
しかし、
この準備のときに
- 「お金をもらえている状況で準備をする」
- 「お金をもらえていない状況で準備をする」
では、大きく起業の成功率が変わってきます。
会社は資金がなくなったら倒産ですから・・・
「お金をもらえていない状況で準備をする」を選ぶのであれば、準備期間だけ倒産までの猶予が短くなることを意味します。
だとすれば、できるだけ「お金をもらえている状況で準備をする」べきです。
「お金をもらえている状況で準備をする」 = 「退職する前に準備をする」
ということです。
会社に所属していることのありがたみは、辞めてから気づく方がほとんどです。
筆者の経験では
- すでに実績がある会社に所属しているということ
- すでに顧客がいる会社に所属しているということ
- すでに利益を生み出すビジネスモデルが確立された会社に所属しているということ
- すでに営業するスキームが確立されている会社に所属しているということ
- 相談できる上司がいるということ
- 自分にないスキルや能力を持っている同僚がいるということ
- 経営を実践している社長がいるということ
は、思っている以上に恵まれている環境なのです。
起業してからは会社には戻れませんので、退職する前にこそ、起業の準備をしておくべきなのです。
退職前の準備リスト
1.見込客を増やしておく
起業して一番困るのは「お客さんを一から獲得していると損益分岐するまでの期間が長くなり、その間に資金が不足して債務超過に陥ってしまい倒産する」ということです。
これが起業の成功率に直結する要素と言っても過言ではありません。
だからこそ、退職する前に見込客を増やしておく必要があるのです。
「でも、今いる会社とビジネスモデルが違うので見込客を増やすことができそうもないのですが・・・どうやって会社に在籍しながら見込客を増やすのですか?」
会社に在籍しながら見込客を増やす方法
肩書があるうちに異業種交流会やパーティーなど見込客がいそうな場に足を運ぶ
人脈が多ければ多いほど「見込客になる」「見込客を知っている」方が増えます。
しかし、起業した直後には
- 異業種交流会やパーティーに参加している時間的余裕はない
- 起業したての会社では相手にしてもらえない
という問題がでてきます。
だからこそ、会社の実績があって、肩書があって、信用がある状態のうちに人が集まる場所に積極的に参加して、人脈を気付いておくべきなのです。
人脈の中には「見込客」だけではなく
- 経営で相談できる人
- 自分がない技術で起業後に仕事をお願いできる人
- 見込客を紹介してくれる人
- 出資してくれる人
・・・
など、様々なポテンシャルを持った人と出会う可能性があります。退職前こそ、積極的に人脈を広げておくべきなのです。
会社に在籍しながら、見込客に接触する
極端なことを言えば
例えば
- その会社の商品やサービスを売れる可能性があるが、自分の起業した後の見込客にもなる可能性がある方に営業する
- 新規事業が提案できる立場にあるなら、マーケティングリサーチの一環として、自分の起業した後の見込客にもなる可能性がある方にアプローチする
在籍中の会社の立ち位置が営業でなくて、商品開発や企画職であっても、マーケティングリサーチや仕入れ先の開拓など、色々な理由をつければ、見込客にもなる可能性がある方にアプローチする理由が作れるはずです。
当然、ここでは「起業後の話をする」のはNGです。
- 名刺交換をする
- 見込客が本当に困っていること、悩みを聞き出す
- 見込客の現状や市場の状況を聞く
ことを目的とすべきです。
生の声を収集するという意味では非常に有効な方法と言えるでしょう。
ブログやSNSを作り込む
副業禁止の会社であっても、ブログやSNSで情報発信することは利益を得ていなければ副業に該当しません。
例えば
起業して「飲食業のオーナー向けの仕入れサービスを展開したい。」のであれば
「飲食業のオーナーの仕入れ術」というブログやfacebookを作り込んで、数千人の閲覧者が毎月いる状態にしておけば、彼らが見込客になります。
これは「飲食業のオーナーの仕入れ」に関する情報を調べる、マーケティングリサーチとブログやSNASの構築は同時並行で進められるものです。
それが見込客の獲得につなげられるのですから、やるべき事項と言っていいでしょう。
2.自分の実績データ、顧客データ、ノウハウデータをまとめておく
自分の実績データ
会社にいるときの自分がやったことの実績データをまとめておく必要があります。
起業した直後は、会社の実績はありません。ゼロです。
「自分がどういう人間か?」
起業直後の会社では
「前職では広告代理店の営業担当で大手の○○という会社の広告宣伝を担当していましたが、担当した5年で顧客数は2.4倍になりました。」
・・・
というような営業トークで良いのです。
結局、起業直後はこれしかないのです。
前職での実績の前提があって・・・
と商品やサービスの説明に入っていかないと、どんな優れた商品やサービスであっても、なかなか顧客が受け入れ態勢を取ってくれないので話半分でしか聞いてもらえないのです。
実績データをまとめるときのポイント
- 良いデータを切り取る(良かった時のデータだけで良い)
- ウソはダメ(リアリティがなくなってしまうと、嘘くさくなる)
- 具体的な「数字」を中心にする
- 売上、集客、コスト削減などわかりやすいメリットに直結するものに限定する
自分の顧客データ
自分の顧客データをまとめておきましょう。
自分の顧客データは営業先になるからです。
たらし、これは慎重にやる必要があるので注意が必要です。
倫理観を重視する方は「前職の営業先にはアプローチしない。」ということを守る方もいるかと思います。これはこれで正しい判断と言えるでしょう。
会社の職務規定などに、この文言があった場合などもアプローチしない方が良いケースもあります。
そもそも、それで前職の会社から訴えられたからと言って、大事になるケースは少ないのです。商品やサービスが競合しないのですから、前職の会社にダメージがないからです。
というのも、前職の会社がそれなりの会社である場合には、悪評が広まってしまう可能性があります。信用がなくなってしまうと、その業界に噂が広まり営業自体が難しくなってしまうため、営業するのであれば「商品性を変える」など別の切り口でアプローチする方が良いでしょう。
当然、他人の顧客データを持ち出すなどはNGです。訴えられる可能性もあります。
自分の顧客データに限定しましょう。
ノウハウデータ
その会社のノウハウが起業後に生きてくる可能性も十分にあります。
- 営業のトークスクリプト
- 事業計画のフォーマット
- 商品計画のフォーマット
- 営業資料
- 人事計画
- 人事評価
- 契約書のテンプレート
- 経費申請など経理面のテンプレート
- 新卒への教育マニュアル
- 営業のナレッジデータ
- 商品開発のマニュアル
・・・
など、大きな会社であればあるほど、色々なノウハウが蓄積されているはずです。
これを自分のスキルとして、起業後に生かさない手はありません。
しかし、ここも注意が必要なのは
これも他人の顧客データと同じで情報漏えいなどの問題になってしまう可能性があるためです。
しかし、これらのノウハウのデータを見ながら
- 「自分のノートにまとめたもの」
- 「自分用にメモ帳に箇条書きでまとめたもの」
・・・
であれば、自分の頭に入っているノウハウとほぼ同じ意味ですので、それほど問題にはなりません。
3.同僚や上司にノウハウを聞いておく
前述したようにノウハウがデータとしてまとめられているものもありますが、
どちらかというと、ノウハウというのはほとんどが人に紐づいているものが多いと思います。
- 社内でも営業成績トップの営業マン
- 部署を増収増益させる敏腕上司
- 商品開発でヒットを生み出し続ける商品開発担当者
- WEBマーケティングの広告宣伝担当者
- 社長・役員
・・・
社内には色々なプロフェッショナルがいて、自分にないノウハウを持っているはずです。
これらの方には
- 人間的に仲良くなっておく → 起業後も助けてくれる可能性がある
- ノウハウや疑問を聞いておく → 起業後のノウハウになる
ため、在籍時に積極的に絡んでいくべきです。
例えば、WEBのマーケティングに疎い人であれば
WEBマーケティングの広告宣伝担当者と仲良くなって
「ブログのPVが全然伸びないんだけど、どうすればいいのかな?」
なんて、しれっと聞いてみれば、非常に有効な解決策を教えてくれるかもしれません。
例えば、事業計画の作り方がわからない人であれば
上司と仲良くなって
「去年上手くいった○○の事業計画書って、新事業を考えているのですが参考に見せてもらえませんでしょうか?」
と言って、見せてもらえれば有力なノウハウになるのです。
ここでのポイントは
「結果を出していない人」のアドバイスはマイナスの効果
があるため、排除するべきです。
傾向としては
- 「結果を出している人」 → プライドがあり、とっつきにくい
- 「結果を出していない人」 → 人間性が良い、話しやすい
と思いますが、「結果を出していない人」と仲良くなる必要性は起業前に限れば全くありません。
とっつきにくくても、「結果を出している人」にアプローチして「情報を聞き出す」「関係値を構築する」ことが起業後の助けになるはずです。
4.お金をできるだけ貯めておく
起業後は
- 事業資金
- 生活費
の両方が必要になります。
利益が出るまでは経営者の給料は0円という設定の方も多いかと思います。
筆者の場合は
資本金100万円
利益が出るまで給料:0円
借金:0円
生活費:2年分で400万円
計:500万円
の貯金をしてから起業をしました。
「2年間で利益が1円も出せなければ、もう一度会社員に戻ろう」と撤退ラインを決めていたので、この金額が貯まってからの起業を選択したのです。
借入も含めて、資金は多ければ多い方が良いのです。
5.円満退社で出戻りの可能性を残しておく
起業を検討するぐらいですから
前職の会社の中では
- それなりの地位がある
- それなりの実績を上げている
のだと思います。
だとすれば、会社とケンカして無理やり辞めるのではなく、円満退社をすることをおすすめします。
円満退社をしていれば、起業が失敗してどうにもならないときも「出戻り」できる可能性が高いからです。
会社としては
中途採用で採用コストを掛けて、どうなるかわからない人を採用するよりも
自分の会社のことを十分に理解していて、実績を上げた経験がある方の採用の方が
何倍も有益だからです。
40歳を超えていても、十分に「出戻り」できる可能性があります。
そういう考え方もあるかと思いますが
筆者はいろんな退路を用意したうえで起業しました。
幸い、退路を使う必要はありませんでしたが
実感として
と考えます。
というような可能性は回避した方が良いと思います。「出戻り」ができれば、以前の雇用状態とまったく同じにはならないかもしれませんが、収入は確保できますし、仕事の内容も理解しているのでストレスや負担もないはずです。
円満退社のコツ
- 退社する意向をいう時は意図的に売上を落としておく
- 退社が決定したら、辞めるまでは売上を伸ばす
- 引き継ぎマニュアルを完璧に用意する
- 引き継ぎ担当者が決まるまで一定期間は待ってあげる(限度はありますが・・・)
- 起業した後にその会社にメリットのあるような付き合いができることを経営者などに伝えておく
6.カードローンやクレジットカードを作っておく
これは資金面でのリスクヘッジですが・・・
会社に勤務しているとき
→ カードローンやクレジットカードの審査に通りやすい
起業したとき
→ カードローンやクレジットカードの審査はほぼ通らない
という傾向があります。
自分で体験してわかったのですが・・・
「会社員」と「自営業・経営者」の信用力の差というのは思っている以上に大きく、愕然とした差があるのです。
これはとくに起業して6か月経過するまでは大きく、カードローンやクレジットカードの審査はほぼ通らない状況に追い込まれてしまうのです。
必要がある場合は、会社に在籍している間にカードローンやクレジットカードを
- プライベート用(生活資金用)
- 事業用
の最低2つぐらいは作っておくべきです。
※すでにある場合はわざわざ追加で作る必要はありません。
7.家族にフォローを依頼しておく
「起業するかどうか」を家族に相談するというテンションだと
と言う方の方が多いと思います。
それもそのはずです。奥さんなどにしてみれば、「会社のやりがい」と「起業のやりがい」を比較するすべはないのですから「安定収入の方が良い」というのは当たり前の論理なのです。
そのため、「起業しようと思うけどどう思う?」という相談はしない方が良いのです。
非難されることは覚悟の上で
と伝える方が良いのです。
起業直後は
- 収入がなくなる
- 自宅で作業することも増える
- 自宅をオフィスにする可能性もある
- 奥さんに雑用をお願いする可能性もある
・・・
のですから、家族の協力はあった方が良いのです。
まとめ
起業を成功に導く退職前の準備リストは
- 見込客を増やしておく
- 自分の実績データ、顧客データ、ノウハウデータをまとめておく
- 同僚や上司にノウハウを聞いておく
- お金をできるだけ貯めておく
- 円満退社で出戻りの可能性を残しておく
- カードローンやクレジットカードを作っておく
- 家族にフォローを依頼しておく
というものがあります。
これらは起業した後に取り戻そうと思っても、取り戻せないものです。
ビジネスはタイミングも重要ですが「今じゃなきゃダメ」というものでもありません。
「一刻も早く起業したいけど、もう会社辞めていいのかな?」
・・・