1人で起業すべきか?共通の目標がある友人やパートナーと起業すべきか?悩んでいる方も少なくないはずです。今回は起業の成功率を上げる方法として「1人で起業する。」を解説します。
起業する人数の現状
起業したときの人数 | 割合 |
---|---|
本人のみ | 74.6% |
2人~4人 | 18.4% |
5人~9人 | 4.5% |
10人以上 | 2.5% |
出典:日本政策金融公庫総合研究所「2016年度起業と起業意識に関する調査」
となっていて、4人に1人は誰かと一緒に起業しているのが現状です。
友人や元同僚、自分のスキルを補ってくれるパートナーと起業するのはメリットもあります。
- 不安を解消できる
- 自分の不得意分野をカバーできる
- 責任が分散される
- 迷った時に相談できる
- 共同経営者の人脈を利用したい
- 共同経営者のスキルやノウハウを利用したい
・・・
しかし、これらのメリットの裏にはそれ以上に大きな弊害があるのです。
多くの共同経営者は衝突して瓦解する
起業する理由を見てみると
開業動機
出典:日本政策金融公庫総合研究所「2016年度新規開業実態調査」
1位:自由に仕事がしたかった。
2位:仕事の経験・知識・資格を生かしたかった。
3位:収入を増やしたかった。
4位:事業経営と言う仕事に興味があった。
5位:自分の技術やアイデアを事業化したかった。
となっています。
開業動機から見る複数で起業してしまう弊害
1位:自由に仕事がしたかった。
→ 共同経営者の意向をくみ取る必要があるため、1人で起業するときと比較すれば自由ではない。
2位:仕事の経験・知識・資格を生かしたかった。
→ 問題なし
3位:収入を増やしたかった。
→ 収入の考え方に違いが出てしまう。
例えば「儲けてから役員報酬を大きくすれば良い」という考え方と「はじめから作業をしている分最低限の役員報酬は必要だ。」という考え方が合致しないケースが多く発生します。2人で起業した場合には、報酬は同じに設定しておけば一見トラブルにならないように感じてしまいますが、実際は「どのように役員報酬を設定するのか?」で考えの違い発生することになります。また、お金の使い方も、会社の利益、自身の収入にそのまま影響してくるので考え方の違いは多く発生してしまうのです。
4位:事業経営と言う仕事に興味があった。
5位:自分の技術やアイデアを事業化したかった。
→ 自分が思い描くプランを妥協する必要が出てくる。
「自分はこういう形で事業を伸ばしていきたい。」と思っても、共同経営者が違う方針を支持していたら、相手の要望も聞き入れて妥協しなければならない状況が発生します。あきらかに自分の意見を強引に通せる、関係性であれば問題ありませんがお互い「共同経営をしたい。」と考える経営者ですから、ある程度のビジネススキルはあり、明確な主従関係にはなりにくいのです。
結果、せっかくリスクを取って起業したのに、色々な意見の相違が共同経営者と発生してしまい、「起業した動機が実現できない。」可能性が高まってしまうのです。
他にもある複数で起業してしまう弊害
責任が分散されることが、甘えにつながる
1人でやっていれば、責任はすべて経営者自身にあります。売上が上がらなくても、利益が出なくても、多額の借金を抱えても、すべて自分の責任です。言い訳の余地がありませんから、やるべきことは自身の経営スキルを上げて、収益を改善するしかありません。
しかし、2人以上の共同経営者で経営をしていると、徐々に「人事は○○の担当」「営業は○○担当」「資金調達は○○担当」と得意分野に合わせて棲み分けができてきます。当然、上手く言っているときは全く問題ありませんが、上手くいかなかったときに「あいつの営業が悪いんだ。」とか「採用が悪いんだ。」と声に出さなくても、感情的に思ってしまう状況に陥ります。愚痴ったり、相手のことを嫌いになったり、無駄な時間が発生してしまいます。1人であれば、そんなことを考える気も起こりません。
妥協の産物は当たり障りのないサービス。商品になりがち
起業間もない会社の商品やサービスが大手に勝つためには「独自性」「エッジの効いたサービス」「ニッチなマーケット」が必要になります。
しかし、経営者が複数名いると、会議をしていても「相手の意向をくみ取る」という一見良いことのような行動をしたが故に、独自性が薄まり、当たり障りのない商品やサービスになってしまうことも多いのです。「独自性」がなければ、資本力の大きい大手企業には到底かなわないのです。
まとめ
「絶対に複数名での起業がNGか?」というとそうではありません。
ジョブズのように大成功している方も数多くいます。
しかしながら、圧倒的な力関係、リーダーシップがない場合には、複数名で起業するとビジネスに対する価値観の相違が経営上のデメリットになってしまうことが往々にして起こりうるのです。(ジョブズの場合は、パートナーのウォズニアックはアップルの創業当時は言われるがままの開発者であり、共同経営者ではないのです。)
相談を受けた経営者の方も、複数名で起業した方は
- 「強く言えない。」
- 「飲みの席で相手への不満、愚痴を言う。」
- 「会社でやりたいことが違う。」
・・・
結果として、バラバラになってしまったり、同じ会社の経営者なのに全く別の事業をやっていたりするのです。