こういう起業したい人は、かなりの数いるはずです。現状の仕事に満足できない、もっと稼ぎたい、上司がいない世界で自由に仕事をしたい、・・・いろいろな理由はあると思いますが、「じゃあ、どうする?」というところで躓いてしまう方も多いのではないでしょうか。今回は、筆者の経験談を元に起業したい人が成功する起業の準備について解説します。
目次
筆者のご紹介
32歳の時に起業しました。
現在、会社は6期目
会社の経常利益は3億円程度
保有する会社の数は4社
・・・
起業する前は、広告代理店に勤めていました。
本当は、28歳のころから「起業したいな。」とずっと考えていたのですが、なかなか踏み出せずに結局4年経過して、やっと「起業しました。」
この経験から、「起業したい人が今本当に何をすべきか?」について、自身の見解を解説してみます。
「ベンチャーから出資を受けて、起業で大金持ちになる」起業の方法はお教えできませんので、ご了承ください。
「確実に、失敗しないように”そこそこ”成功する」起業の方法はお教えできます。
本やウェブサイトでは
起業したい方は
- やりたい目標設定をする
- 起業家にインタビューする
- 起業アイディアをたくさん考える
・・・
など、あいまいなアドバイスが並んでいますが、
「そのやり方がわかんないんだよ。」
「やったところで成功するイメージが湧かないんだよ。」
というのが、筆者の当時の感想でした。
これらの情報よりは具体的にアドバイスできると思います。
手順1.起業したい人は、起業したい業界の中小企業で3年働くべき!
という方も多いと思いますが・・・
ぼんやりと、こういう業界、こういうビジネスモデル・・・というぐらいは頭にあるはずです。
起業した後のノウハウを得る手っ取り早い方法は「その業界の中小企業に入ってしまうこと。」です。
筆者の場合は、28歳の時に
と、ぼんやり思っていました。
しかし、そうは言っても、経験値がなく
- どうやって営業すれば良いのか?
- どういう商品・サービスを設計すれば良いのか?
- どうしたら稼げるのか?
- どんな会社にするのか?
雲がかかったようにしっくりきませんでした。
しかし、何か行動しなければと・・・
- 事業計画書を本の見よう見まねで作り
- VCの人と話をしたり
- 自分の目標を手帳に書き込んだり
・・・
思いつくままに行動していました。
そこで、決断したのが
でした。
と思ったのです。
小心者という性格も災いして、この時点では「まだ無理だ。」と本当に思いました。
そこで取った戦略が
その時は「メディア運営で起業したい。」と思っていたので
でした。
会社を辞めて、転職活動をするのですが
ここでのポイントは
です。
なぜなら、大手企業では、どんなに優秀な人であっても、分業が整備されすぎているため、ノウハウを得ようとしても、1年、2年では一部のノウハウしか吸収できません。これでは起業の役には立たないのです。
起業するということは、会社経営の機能を「まずは自分一人でやる。」ということですから
- すべての会社経営の機能が見える
- すべての会社経営のノウハウを入手できる
20名以下の中小企業がベストだったのです。
「起業したい。」と思うような方であれば、中小企業であれば、転職ができないということはあまりないと思います。
会社のブランドを重視するのではなく、増収増益を出しているような結果を出している中小企業がおすすめです。
手順2.中小企業でメキメキ出世しよう
社員数20名以下の中小企業であれば
結果を残せれば、リーダー → マネージャー → 部長 → 役員ぐらいまでは2年、3年で行けるはずです。
実は、ここは「起業できる人材かどうか?」の分岐点でもあります。
筆者の場合は
- 入って3カ月でサブマネージャー
- 入って6カ月でマネージャー
- 入って1年で部長
- 入って1年半で事業部長
・・・
とメキメキ出世していきました。
手順1の
を実行するには
が必須条件なのです。
一般社員では接することができない情報、ノウハウが山ほどある中で、一般社員のままで3年経過したから、ノウハウが盗めたと思ったら、大間違いなのです。
部長レベルまで行けば
- 事業計画を作る
- 毎週の幹部ミーティングに出る
- 数字に対して責任を持つ
- 経営者の考え方や指示を直接受ける
- 経営計画を見る
- メインクライアントと接点を持つ
ことができます。
ここではじめて、会社経営のノウハウらしきものが見えてくるのです。
3年は中小企業で働くといいましたが・・・
ここまで来れないのであれば、5年、6年かかっても、起業するタイミングではありません。
1年半でここまで来れるのであれば、1年半で起業しても大丈夫です。
少なくとも、「ノウハウを盗ませていただくのですから」自分の給料の5倍、10倍は稼いで当たり前なのです。
手順3.中小企業で働きながら、ありとあらゆるメモをしろ!
筆者の場合は基本的に「evernote」というアプリを使って
スマホでも、
パソコンでも、
同じアプリを起動しながら、メモをしまくってました。
当時のメモを振り返ると、会社の機能別に気づいたことを書いていました。
大分類は
- 経営
- 営業
- 商品開発
- 広告宣伝
- 人事
- 経理
で、
経営であれば
- 経営計画の作り方
- 幹部ミーティングの進め方
- 経営計画の運用方法
- 未達の場合の対応
- 資金調達
- 勤務先の経営者が読んでいた本や尊敬していた経営者について
- トップ営業の方法
- 契約書フォーマット
・・・
営業であれば
- 営業資料の作り方
- 営業トークの方法
- 営業マンのモチベーションコントロール
- 営業計画の策定方法
- 営業の管理方法
- 顧客別の営業方法
- インセンティブの設計
- 営業ミーティングの仕方
・・・
商品開発であれば
- 競合他社の分析
- 商品開発の利益率の設定
- 提携企業
- 商品開発までのプロセス
- 商品開発アイディアの出し方
- 商品の営業資料の策定
・・・
今現在も、このときのメモが礎となって、経営に生かされているのは間違えありません。
メモをするときのポイントは
- この会社のやり方を詳しく書く
- なぜ、そのやり方をしているのかを考察して書く(ときには同僚・上司にヒアリング)
- 自分だったら、こうするという改善アイディアを書く
という3つのポイントで書いていきます。
例えば、簡略化して書くと
商品開発/サイト制作
この会社のやり方を詳しく書く
この会社では、ディレクターの能力に依存して、顧客のサイト制作をしている。オーダーメイドなサイトができるので顧客には喜ばれるが、費用対効果は合わず、ディレクターが疲弊するだけとなっている
なぜ、そのやり方をしているのかを考察して書く
「商品ラインナップに広告だけでなく、サイト制作も用意してセット販売したい。」という意向がある
自分だったら、こうするという改善アイディアを書く
現状の課題は、意図したセット販売につながらない別の動きになってしまっている。
自分だったら、きれいなサイト、カッコいいサイトを作っても、広告とのシナジーはないので、サイト制作はランディングページ制作のみに絞って、広告とのセットで結果が出る形のセットプランを組み立てる
という形です。
これを100項目すべてに、都度更新をかけていけば
3年間でも十分なノウハウが身に着くはずです。
手順4.会社にいながら、辞める半年前から起業の経営計画を作る
十分なノウハウを身に着ける準備が整ったら
辞める時期を自分の中で決定します。
筆者の場合は、ちょうど3年間で会社を辞めました。
その半年前の2年半経過後から、経営計画を土日に作り始めました。
会社に在籍しながら、経営計画を作るメリットは
わからないところを聞けるから
に他なりません。
経営計画を自分一人で作っていると・・・
「もういいや適当で。」
ということに陥りがちです。
しかし、起業するビジネスモデルの会社に在籍した状態で経営計画を作り始めれば・・・
と適切な数字を設定することができますし
「採用コストはこの会社の場合いくら使っているのだろうか?」
と、同僚や上司、役員、社長に聞いてしまうことができます。
また、ときには
「ほかの競合商品と比較して、うちの会社の商品は何が良いですか?」
「どういう商品が欲しいとかありますか?」
と顧客にヒアリングすることもできるのです。
「もっと、この会社の売上を上げたいのですが、昔はどうだったんですか?」と「会社のために聞いている」という姿勢を見せる必要があるのです。
在籍しながら経営計画を立案すれば
- 給料は途絶えない
- わからないところは聞ける
- 妥当な数字で経営計画を作れる
- 顧客の生の声を入手できる
メリットがあるのです。
手順5.会社を辞めて起業する。スモールスタートが重要
これであれば、収入に穴が開きません。
その為には、スモールスタートで小さい資本で損益分岐をすることを考えましょう。
- 小資本で利益が出るようになったら、余剰利益を投資
- 少し大きくなった資本で、さらに利益が出るようになったら、余剰利益を投資
- 少し大きくなった資本で、さらに利益が出るようになったら、余剰利益を投資
- 少し大きくなった資本で、さらに利益が出るようになったら、余剰利益を投資
- 少し大きくなった資本で、さらに利益が出るようになったら、余剰利益を投資
- ・・・
の繰り返しです。
幸い、筆者は年間3億円の営業利益がありますが、銀行にお世話になったことは一度もありません。
これは「うさぎとかめ」で言えば、「かめ」の戦略です。
画期的なビジネスモデルを作って、アイディア勝負でVCから億単位の出資を引っ張りだして、派手に起業する方法ではないことはご留意ください。
この方法で起業するときの注意点
注意点その1.起業の野望は、誰にも言わない!
ということは、書類を盗んだり、商品データなどを盗まない限りは、違法ではありませんが・・・
- 雇っている社長
- 一緒に働いている同僚
にしては「裏切り行為」と思われてもおかしくありません。
筆者は、関係値を維持しながら辞めましたが、その時の社長や役員がどう思っていたかというと、「裏切り者」だと思っていたに違いありません。
しかし、そう思われるのは覚悟の上でやっていましたし、自分の給料の10倍、20倍は儲けさせた自負がありますから、それほど負い目は感じていませんが・・・
「起業する」ということを、上記の手順の道半ばで悟られてしまうと
ノウハウをブロックされたり
会社を辞めさせられたり
・・・
マイナスのことしか発生しません。
注意点その2.ケンカ別れはNG!
会社を辞める時も、細心の注意が必要です。
お互い良好な関係で別れないと・・・
同じ業界で戦うことになるライバル同士です。
先行している勤務先に負の勘定が芽生えれば、顧客に悪いうわさが流れてしまう可能性もあるのです。
ケンカ別れをしないためには
- しっかりと結果を残して会社に貢献すること
- 経営者や幹部メンバーと仲良くなること
- 起業してからも、お互いWIN-WINになるような取り組みを提案すること
- 部下などを引き抜かないこと
- 顧客を引き抜かないこと
などが重要になります。
どんな業界でも、特化してしまえば狭い業界ですので、辞め方はかなり重要になります。
良好な関係を築ければ、頼もしいパートナーにもなってもらえるので、細心の注意を払って辞めましょう。
ちなみに筆者の場合は、辞めることを承諾してもらうのに6カ月かかりました。
6カ月後に辞めることをコミットしてもらってから、会社の業績を大きく伸ばして、辞める6カ月目が来たので、今も食事に誘われたり、子会社の社長になることを誘われたり、します。
まとめ
誰も教えてくれない!起業したい人が今、本当にすべきことは、下記の手順で起業の準備をすることです。
- 手順1.起業したい人は、起業したい業界の中小企業で3年働くべき!
- 手順2.中小企業でメキメキ出世しよう!
- 手順3.中小企業で働きながら、ありとあらゆるメモをしろ!
- 手順4.会社にいながら、辞める半年前から起業の経営計画を作る
- 手順5.会社を辞めて起業する。スモールスタートが重要
これが一番成功する確率の高い起業の方法だと自負しています。
「起業したいんですけど、なかなか踏み出せなくて。」
・・・