起業を検討しているのであれば「起業の失敗パターン」を学習しておくことが、起業の成功率を高めることにつながります。今回は「かなりの確率で陥る起業失敗パターン」を紹介します。
目次
起業失敗パターンその1.市場調査をしないで起業失敗
競合調査、市場調査をしないで起業する方は非常に多いのです。
自分のアイデアやビジネスプランを盲目的に信じ込んでしまい
- 市場動向がどうなっているのか?
- 市場規模がどのくらいあるのか?
- 同じアイデアを実行している競合はいないのか?
- 競合他社はどのくらいあるのか?
- 競合他社のシェアはどのくらいの割合なのか?
・・・
などを一切調査せずに起業してしまうのです。
当然、後から
ということに気づき、青ざめてしまうのです。
回避法
最低限の市場調査はしてから起業すべき
とくに
- 市場規模
- 競合シェア
- やろうとしているビジネスモデルを実践している他社がいないかどうか?のチェック
ぐらいは最低限しておくべきものです。
起業失敗パターンその2.コロコロ事業ドメインを変えて起業失敗
ビジネス誌や経済誌で「○○市場が伸びている」「○○の企業が儲かっている」という情報を基にマーケットから参入を決めてしまう起業家にありがちな失敗です。
- ブランド買取市場が儲かっているらしい → と聞いて、ブランド買取店をオープンしたり・・・
- クラウドサービスが注目されているらしい → と聞いて、クラウドサービスを企画したり・・・
レッドオーシャンに自ら突入するタイプです。
- ニュースになっている
- 書籍に書いてある
時点で、その事業はブルーオーシャンではなくなっていることに気づかないのです。
レッドオーシャンで勝ち残ろうとすれば、かなりの競合優位性が求められますが、元々その業界が好きで参入したわけではないので「全然、上手くいない」のです。儲かる市場ほど、競合の数は多く、資金の潤沢な大手企業も参入しているのです。
このタイプの起業家は
ニュースや書籍での伸びている市場や注目企業を見て、自分の事業ドメインを決めるので
このタイプの起業家は友達の発言や知り合い経営者の提案に流されやすい欠点があります。
回避法
レッドオーシャンで新規参入組が勝つためには明確な競合優位性が必要です。
選択肢は
- レッドオーシャン覚悟で既存の競合に対して競合優位性を作る努力をするか?
- レッドオーシャンであることを事前に調べて参入を見送るか?
です。
筆者の意見では「好きこそものの上手慣れ」ですから、興味のない業界がレッドオーシャンであれば起業する市場としては好ましくありません。ブルーオーシャンを探すべきです。
逆に興味がある業界がレッドオーシャンの場合は、努力で競合優位性を作ることも可能だと考えます。そもそも、その業界が好きなのであれば、他の企業とは違った視点のサービスが生み出せる可能性があるからです。
起業失敗パターンその3.人脈依存で起業失敗
営業出身の起業家にありがちなのが「人脈依存」です。
サラリーマン時代は、営業力があり、大口の顧客も抱えていた優秀なビジネスマンが陥りやすい失敗です。
サラリーマン時代は、商品やサービスは他の部署の方がきれいに作ってくれるので営業は「売る」だけで良かったのですが・・・
このタイプは、サラリーマン時代のツテと人脈で起業直後は売上が立ちます。
- 「あの人に世話になったから。」
- 「信頼できる人だから。」
人脈が手厚い分、初動の売上は作れるのです。
しかし、これらのお客さんは商品やサービスに満足して購入を決定してくれたわけではありません。その人の人柄で売れただけなのです。
このタイプの起業家は、初動の売上で気分が良くなり、さらに営業活動に力を入れます。しかし、「営業=経営」と勘違いしてしまい、商品・サービスの開発、改善に力を入れないため、徐々に商品力がないこと、結果がでないことが見抜かれてしまい、お客さんは離れてしまうのです。
顧客の定着率が低ければ、売上は維持されません。
営業に時間を割けば、さらに商品開発やサービス改善の時間は作れません。
まさに悪循環です。
営業だけやっているからこそ、経営としては失敗してしまうのです。
回避法
営業は経営の一つの機能でしかないことを理解する必要があります。
また、商品やサービスに価値を感じてもらえない限りは「顧客が貯まらない」ことを知り、商品開発やサービスの改善にも力を入れるべきなのです。
起業失敗パターンその4.見栄っ張りで起業失敗
夢見る起業家のイメージにとらわれてしまい・・・
必要ないのに
- 都会でオフィスを持つ
- 社員を採用する
- 高級なオフィス家具を導入する
- 社会保険や福利厚生を手厚くする
・・・
と大きなコストをかけてしまう起業家もいます。
たしかに友人に「会社を作るんだ。」と言うと「えっ、すごいじゃん。」「よっ、○○社長」と呼ばれてちやほやされることもあります。
それにあこがれている起業家のイメージは「Forbes」などの外国人起業家のイメージかもしれません。
しかし、それを起業直後に実行しようとしたら、資本金がいくらあっても足らないのも事実です。
例えば
ウェブデザイナーで起業する方が
- 表参道にオフィスを持つ
- おしゃれなオフィス家具を入れる
- 高額な制作ソフトを導入する
・・・
と「デザイナーだからイメージ大事」とばかりにコストをかけすぎてしまい、6か月と持たないケースもあります。
しかし、ウェブデザイナーとは言え、売上ができるまでは
- 自宅で仕事をする
- パソコン以外にコストをかける必要はない
- 制作ソフトも最低限のもので十分
- 固定電話も不要、携帯電話で良い
・・・
なのです。
回避法
ずっと我慢しろというのではなく、売上が安定するまでは極力コストを抑えて、損益分岐点を超えることを重視すべきなのです。
「儲ってからはじめて投資」です。
起業失敗パターンその5.大企業病で起業失敗
大企業で何人も部下がいた方ほど、起業をしたときに失敗するケースがあります。
それは、外注を使いすぎるという問題です。
大企業の場合は、機能が明確にわかれています。
- 経営 → 経営企画部
- 営業 → 営業部
- 広告・宣伝 → 広告宣伝部
- 経理 → 経理部
- 人事 → 人事部
・・・
そのやり方と踏襲してしまい
「自分は経営者だから経営企画をする」
- 営業 → 営業マンを雇う
- 広告・宣伝 → 広告代理店に依頼する
- 経理 → 経理のアウトソーシングサービスを使う
- 人事 → 転職エージェントへ人事対応も含めて依頼する
・・・
自分の機能を限定したうえで、他の機能を他社に求めてしまうのです。
これが失敗する理由は
- 無駄なコストが増える
- 外注するにしても、自分がノウハウがないので優秀な外注先を取捨選択できない
- 社員に任せるとしても、自分がノウハウがないのでマネージメントできない
という点にあります。
あなたに広告・宣伝の知識が全くないのに、優秀な広告代理店を見つけることができるでしょうか?
できたとしても、数年かけて何社も広告代理店を変えて、やっと広告宣伝の知識ができてきてからです。
あなたに経理の知識が全くないのに、経理担当者に依頼した仕事のマネージメントができるでしょうか?
やったことがないマネージメントは効果もでなければ、指示も間違ってしまいます。
数億円規模の資本金を持って、起業できる方を除けば・・・
起業した直後の経営者はスーパーマルチ人間になるしかないのです。
また、これらの大企業病の経営者は、起業直後なのにしっかりプライベートの時間を作るなどのんきな方も多いのが事実です。起業直後の経営者はブラック企業以上に睡眠時間以外は働くべきなのです。
回避法
起業直後の会社の機能はすべて経営者が把握すべきです。
経営も、営業も、広告宣伝も、経理も、人事も、自分でやることを心がける必要があります。
ここである程度の経験を詰めれば、利益が出た段階で外注先や採用した社員に任せても、十分にマネージメントができるようになるのです。
起業失敗パターンその6.ストック型で起業失敗
基本的に大きく分類すれば、ビジネスの収益モデルは
- ストック型
- フロー型
に分類されます。
ストック型のビジネスモデル
毎月ほっといても収益が入るビジネスモデル。会員制のフィットネスクラブ、通信系サービス、クラウド系サービスなど。
フロー型のビジネスモデル
販売することで一回ずつ収益が入るビジネスモデル。商品の販売、サービスの提供など。
ビジネスモデルとしては、ストック型のビジネスモデルは毎月自動的にお金が入ってくるので、安定した成長を目指せるビジネスモデルです。
しかし、ストック型のビジネスモデルの場合は1件の毎月の売上が小さいのです。月3,000円のサービスだとしたら、自分の給料を稼ぐのにも、200人への販売をしなければなりません。
回避法
起業直後はストック型のビジネスよりも、フロー型のビジネスの方を重視すべきです。
あくまでも、起業直後の損益分岐点を超えるまではフロー型のビジネスを重視すべきです。ストック型のビジネスがダメなわけではありません、あくまでも優先度の問題です。
将来の売上のためにストック型のビジネスも行いつつ、目先の売上のためにフロー型のビジネスも追いかける形も良いでしょう。
ストック型のビジネス単独で仕掛けるためには、潤沢な資本金が必要になります。
起業失敗パターンその7.共同経営で起業失敗
これはかなり多い企業の失敗パターンです。
仲の良い同僚や知り合いと起業すると
- 楽しい
- 不安がやわらぐ
- 得意分野が異なれば苦手分野をカバーしてもらえる
と一見メリットが多いのですが・・・
実態はすぐに
- 経営方針で意見が衝突する
- 役員報酬の配分で意見が衝突する
- 社員に派閥ができる
- 採用で意見が衝突する
・・・
衝突しない点がないぐらい色々な点で衝突が発生するのです。
しかも、たちが悪いのは
夫婦関係であれば妥協して何事もないケースがありますが
会社経営では
妥協する結果は最悪の結果になる可能性が高い
のです。
船頭多くして船山に登る
ということわざもあるぐらいです。
- Aさんの経営方針 → 成功
- Bさんの経営方針 → 成功
- AさんとBさんの経営方針の中間の落としどころ → 失敗
という結果になることが非常に多いのです。
- 衝突は多く
- 妥協はダメ
ですから、空中分解する事例が多いのもうなづけるのです。
回避法
起業は1人で起業するべきです。
共同経営者という形で起業すると、成功率が下がります。
残念なことに、会社経営が上手くいったとしても、報酬の配分、株式の配分で揉めて、仲の良かった共同経営者の関係にヒビが入ってしまうのです。
メリットよりも、デメリットの方が多いので、明確な力関係が存在する場合(どちらからのいうことが絶対になる関係)以外は、1人での起業をおすすめします。
起業失敗パターンその8.事業計画へ依存しすぎで起業失敗
何年もかけて練り上げてきた事業計画も、言ってみれば想像の産物にすぎません。
筆者の経験からすると
事業計画通りにビジネスが進むことなんて、皆無に近いのです。
キャッシュアウトまでのタイムリミットが迫っているのに
「あれだけ悩んだ事業計画が間違っているはずない。」
と、盲目的に計画通りに経営を進めても、そのままキャッシュアウトして倒産ということになってしまうのです。
回避法
- 事業計画 → 想像の計画
- 経営してからの売上 → 現実
ですから、起業する前は事業計画を信じて構いませんが、実際に経営をしてみて上手くいかない場合は「結果」を直視して、早急に変化をさせるべきなのです。
素早く、商品やサービスの改善、方針転換をする決断が求められるのです。
まとめ
かなりの確率で陥る起業失敗パターン8には
- 市場調査をしないで起業失敗
- コロコロ事業ドメインを変えて起業失敗
- 人脈依存で起業失敗
- 見栄っ張りで起業失敗
- 大企業病で起業失敗
- ストック型で起業失敗
- 共同経営で起業失敗
- 事業計画へ依存しすぎで起業失敗
があります。
どれも陥りやすい起業失敗パターンです。
起業失敗パターンを理解したうえで、同じ失敗をしないように注意しましょう。
「市場規模が予想以上に小さく、全然顧客がいない」
「競合他社が強すぎて、スキマがない」